『らんまん』“苦労人”中村蒼が神木隆之介の前途を照らす 家計を管理する寿恵子の苦悩も
佑一郎は苦労人である。没落した武家の生まれで10歳で家督を継ぎ、家族のために働いてきた佑一郎には地場の人々の苦労がわかる。恵まれない境遇で道を開いてきた経験が、万太郎の進路を照らした。悩める万太郎に佑一郎は「博物館がある」「教授が全てじゃない」と助言した。
万太郎にとって新種の名付け親になることは生涯の仕事であり、さまざまな憂いや喜びも最終的にその点に集約される。そのため、実際的な問題は寿恵子が担うことになる。わかっていたこととは言え、こうも早く家計の心配をしなければならなくなったことにため息が出そうだ。
「留学」の二文字に耳をそばだて、大学の研究や植物採集にいったいいくらかかるのかと思案する寿恵子。えい(成海璃子)に内職や口入屋の場所を聞くのも、寿恵子なりの気持ちの表れだ。綾(佐久間由衣)が工面した千円の使い道を相談しても、肝心の夫は聞く耳を持たない。寿恵子は「あなたのことなんですよ」とイライラを募らせるが、植物の研究にかかりきりの万太郎はそれどころではないのだ。究極の目標を持つパートナーに対して、支える側の身にもなってくれという心の叫びが聞こえるようだった。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK