『らんまん』“苦労人”中村蒼が神木隆之介の前途を照らす 家計を管理する寿恵子の苦悩も

『らんまん』万太郎を照らした佑一郎の言葉

 十徳長屋を訪れた人影は見知った人のものだった。『らんまん』(NHK総合)第69話では、万太郎(神木隆之介)が級友の広瀬佑一郎(中村蒼)と再会する。

 田邊(要潤)専属のプラントハンターにならないかとの誘いを断った万太郎。寿恵子(浜辺美波)に励まされてこれまで以上に植物の研究に打ち込むが、田邊に言われた「後悔するぞ」という言葉が重くのしかかっていた。そこに現れたのが佑一郎である。土佐の名教館でともに学んだ佑一郎は、万太郎より一足早く上京。第6週では上京した万太郎に下宿先を紹介したが、条件が折り合わず、万太郎は十徳長屋に腰を落ち着けることになった。

 気になる佑一郎のその後だが、札幌農学校を出た後、工部省に勤務。技師として東京-高崎間の鉄道敷設に携わった。さらに河川工学を探究するため、アメリカへ留学することになり、その報告を兼ねて万太郎を訪ねてきたのだった。蘭光(寺脇康文)にともなわれた仁淀川への野外授業で、10代の佑一郎(岩田琉生)は水害の脅威を目の当たりにし、自然との共存に関心を持った。仁淀川からミシシッピ川へ。級友が「金色の道」を進んでいることを喜ぶ万太郎だったが、自身のことになると顔が曇る。

 佑一郎を送る道すがら、田邊との一連の出来事を万太郎は打ち明ける。学歴のない万太郎は新種を発見しても発表することができず、生殺与奪は田邊に握られている状態。あからさまに万太郎を見下す田邊に佑一郎は疑問を呈する。

「学校を出ちゃあせん者は、皆虫けらながか? そんなこと言える方がよっぽど恐ろしいがのう」

 佑一郎は自らの経験を通して語る。鉄道建設の働き手は低賃金・重労働の過酷な環境で働いており、彼らから「先生」と呼ばれることが恐ろしくてならなかったと。「学校でなんぼ学んで図面を引いたち、実際は土を掘り起こすこと一つとったち親方に頼らんといかん。教授が言うところの虫けららあがこの国を変える底力を持っちゅうがじゃ」と話す佑一郎の言葉には実感が込められていて、万太郎も真剣に耳を傾けた。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる