『らんまん』万太郎の“人の良さ”は摩擦を生む 嫉妬に燃える田邊教授とのもどかしい軋轢
あんよを叩いてせっせとおやりよ、ステテコテコテコテコテコテコテコ……♪
連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合)の後半戦がスタート。初日の第66話では、万太郎(神木隆之介)と寿恵子(浜辺美波)の十徳長屋での楽しい新婚生活がミュージカル仕立てで始まった。
長屋のみんなの明るさと軽快なメロディが、タキ(松坂慶子)との別れの悲しみを癒してくれるかのよう。結局、万太郎たちはタキの法要を終えるまで土佐に残った。つまり、タキの「そばにいてほしい」という最後の願いは叶えられたということ。それは何よりの救いである。
さて、久しぶりに東京へ戻ってきた万太郎はちょっとした浦島太郎状態。大学では新学期が始まっており、丈之助(山脇辰哉)や植物学教室の面々もいつの間にか卒業を果たしていた。別れもあれば出会いもあり、新たに2年生の澤口(犬飼直紀)と山根(井上想良)が入ってきたが、やはり万太郎目線から見ると教室はどこかガランとしていて寂しい。一方でその抜け穴を埋めるように大量の標本が教室には集められていた。というのも、田邊教授(要潤)の意向で今夏の植物採集旅行は規模を大幅に拡大して行われたという。波多野(前原滉)と藤丸(前原瑞樹)も教授に連れられ、信州から津軽まで植物を集めて回ったそうだ。
田邊教授の情熱はこれまで植物より西洋文化にかなり傾いているように思えたが、そのバランスが逆転し始めている。何を隠そう、それは万太郎へのライバル心に寄るものである。波多野が言うように大学にも入っておらず、留学経験者でもない万太郎が見つけたマルバマンネングサが新種と認められたのに対し、東大の教授、しかもコーネル大学で植物学を専攻した田邊教授の戸隠草は新種と認められるだけの標本がまだ集まっていない。平静を装ってはいるが、その胸の内にはきっと嫉妬の炎が渦巻いているはずだ。だからこそ、花を咲かせるべく戸隠草の株を持ち帰って育てたり、全国から植物の標本を募ったりと余念のない手段を講じている。