『どうする家康』松本潤の瞳が表す“心”を失った家康の闇 有村架純&細田佳央太の名演も

『どうする家康』“心”を失った家康の闇

 『どうする家康』(NHK総合)第25回「はるかに遠い夢」。瀬名(有村架純)と信康(細田佳央太)の計画は、武田勝頼(眞栄田郷敦)によって暴かれ、信長(岡田准一)の知るところとなった。家康(松本潤)は信長の目をあざむいて妻子を逃がそうと決意する。しかし瀬名と信康は逃げ延びることを良しとせず、全ての責任を負おうとする。

 瀬名と信康に生きてほしいと願っていた家康だったが、瀬名も信康も自らの務めを果たし、この世を去った。第25回では、覚悟を決めた信康と瀬名、そして大切な家族を失った家康の表情が印象に残る回となった。

どうする家康第25回

 信康ははじめから覚悟を決めていた。築山で「私が腹を切ります」「それで全て済みます」と申し出た信康は、妻子を救う手立てはないものかと気を揉む家康とは対照的に、静かで落ち着いた様子だった。家康が「お前を死なせるくらいならわしが腹を切る!」と感情的になると、信康は力強い声で「それこそ徳川が滅ぶことでござる!」と返す。信康の言葉は一国の主にふさわしい器を感じさせる。このような状況でなければ、家康は信康の威厳ある姿が誇らしかったはずだ。けれど家康は、国の行く末よりも大切な家族を守りたかった。

どうする家康第25回

 遠江の二俣城にいた信康は、一瞬の隙をついて平岩親吉(岡部大)から刀を奪い取ると腹を切る。腹を切る直前、信康は半蔵(山田孝之)の嘘を見抜き、母・瀬名が自害したことを知った。「全ては……若殿に生き延びていただくためでござる」という半蔵の言葉に、母の思いを感じ取ったのか、涙を堪える姿が心を打つ。それでも信康は、徳川を守るため、母と同じ道を選んだ。「わしが……徳川を守ったんじゃ…!」と息も絶え絶えになりながらも声をあげる信康の顔つきは、これまで以上に勇ましい。信康の介錯を務めたのは、信康を幼子の頃から知っている半蔵だ。半蔵の介錯によって事切れる直前、鋭い眼差しで半蔵を捉える信康の鬼気迫る顔つきの中に、どこか安堵した様子がうかがえた。心優しく、勇敢な青年の切なくも立派な最期となった。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「国内ドラマシーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる