『らんまん』徳永助教授と万太郎の新たな関係 田邊教授との圧倒的な“優しさ”の違い
万太郎(神木隆之介)の印刷技術が向上してきた。『らんまん』(NHK総合)第52話では、そんな彼がついに大畑(奥田瑛二)とイチ(鶴田真由)に植物学雑誌の印刷を注文することに。
印刷所にやってきた竹雄(志尊淳)が驚くほど、万太郎の擦りあがりは良い出来になっていた。加えて、彼が印刷所の面々にどれだけかわいがられているのかを目の当たりにしたことで、最初は反対していた竹雄も安心したことだろう。寿恵子(浜辺美波)を早く迎えに行くため、“この国の植物学に最初の一歩を刻む”と意気込む万太郎。なんと、彼は印刷所での仕事と並行してついに教室にあったすべての標本、そして自分が土佐から持ってきた標本の分類も終わらせていたのだ。その遂行力に、自分自身の望む生き様への固い決意、そして彼女への揺るがぬ気持ちが感じられる。
ようやくやり遂げたことを盛大に労ってくれるのは、波多野(前原滉)と藤丸(前原瑞樹)だ。嬉々として田邊教授(要潤)に報告をしに行く万太郎だったが、そんな彼と学会誌の行方に暗雲が立ち込める。
先に教授の部屋にいた徳永助教授(田中哲司)はさておき、万太郎は田邊に標本分類の完成を告げる。その中から学名がわからないものをロシアに送り、問い合わせることになっているのだが、教室のものは103点、そして万太郎個人が持ち込んだものが52点あった。自分のものも一緒にロシアに送ってもらえないかと尋ねる万太郎を「無礼千万!」と避難する徳永だったが、四字熟語を使っただけで「暑苦しい」と田邊に制されてしまう。そして波多野の心配をよそに万太郎の願いをあっさり聞き入れた。
徳永は不思議に思っているが、万太郎は田邊が了承することを知っていた。それが、最終的に彼にとって利になることだからだ。
「田邊教授にとって利があることは、教授が頷いてくださいます。それが、たまたまわしにとっても利がある。たったそれだけのことですき」
これまでも万太郎は相手が何を求めているのか、その思考を読み取った上で行動をとることに長けてきた。そんな彼に田邊も感心している。ただ、万太郎の考えは賢いが裏を返せば田邊教授は自分の利しか考えていない、ということだ。そこに万太郎を応援するだの、先生としての優しさはない。むしろ、その優しさを持ち合わせているのが徳永だったことが今回判明した。