『日曜の夜ぐらいは...』と『かしましめし』を分ける“不安感” 友達への依存が今後の課題に

『日ぐら』と『かしましめし』を分ける不安感

 3人とバスツアーで出会ったみねは女性が傷つくのが嫌でたまらず、女性を守りたいという強い気持ちを持っているキャラクター。そして、そこにはみね自身が「男たるものこうあるべき」という“男性性”に馴染めず、同僚たちの間で浮いているという背景がある。しかし、一方で男性である自分が女性を守らなければと使命感にかられる、ある種の矛盾を抱えた人物でもあるのだ。そんな彼がカラオケで「空と君のあいだに」(中島みゆき)の一節、<君が笑ってくれるなら僕は悪にでもなる>を悦に浸りながら歌うシーンには少々ぞくっとさせられた。人を信用するということは、相手に喜びや生きがいを与え、同時に「絶対に裏切ってはならない」という重荷を背負わせることでもある。『かしましめし』の3人が付かず離れずの絶妙な距離を保てていたのは、そのことに自覚的だったからだ。千春も、ナカムラも、英治も、誰かから向けられる巨大な感情に押し潰された経験があるからこそ、冷静さを失わないようにしていた。それが観ている側の安心感に繋がっていたのだと思う。

 ただ、おそらく『日ぐら』に付き纏う不安感は脚本家がわざと物語に持たせているものだ。少なくとも自然消滅が怖くて連絡先を交換することさえできなかったサチたちが、ようやく友達がいる幸せを思い切り享受できるようになったのは喜ばしいこと。そう考えれば、つい相手に依存してしまうのも成長の一過程と言える。その結果として様々な困難が訪れようとも、最後に幸せが訪れてくれればそれでいい。

■放送情報
『日曜の夜ぐらいは...』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:00〜放送
出演:清野菜名、岸井ゆきの、生見愛瑠、岡山天音、川村壱馬(THE RAMPAGE)、やついいちろう(エレキコミック)、今立進(エレキコミック)、椿鬼奴、飛永翼(ラバーガール)、橋本じゅん、和久井映見、宮本信子ほか
脚本:岡田惠和
演出:新城毅彦、朝比奈陽子、高橋由妃、中村圭良
企画・プロデュース:清水一幸
プロデューサー    山崎宏太、山口正紘、郷田悠(FCC)、浅野澄美(FCC)
制作協力:FCC
制作著作:ABCテレビ
©︎ABCテレビ
公式サイト:https://www.asahi.co.jp/drama_22_abctv/
公式Twitter:@nichigura_abc
公式Instagram:@nichigura_abc

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