『だが、情熱はある』髙橋海人の“惹きつけ力”が光る 森本慎太郎の並外れた“愛され力”も

『だが、情熱はある』髙橋海人の惹きつけ力

 嫌なことが立て続けに起こった時、親友に「人生における幸せの量は同じにできてるんだよ。だから次は絶対にいいことがある!」と励まされたことがある。その時は「そんなわけない!」と言い返してしまったが、最近は、たしかに目の前にある幸せに気付けていないだけなのかもしれない……と思うようになってきた。どれだけ、幸せに敏感になれるか。それが、人生を楽しく生き抜くコツなのだ、と。

 『だが、情熱はある』(日本テレビ系)でも、ほぼ同じ環境にいるはずの若林(髙橋海人)と春日(戸塚純貴)の幸福度がまったく違っているのだから面白い。全然売れなくて、鳴かず飛ばずの日々。そもそも、どうしたら売れるのか分からない。家族からもバカにされ、どんどん自信を失ってしまった若林は、「恥ずかしい、惨めだと思う」と自分を卑下している。だが、春日は「どう考えても、幸せなんですけど」と言ってのけるのだ。

「不幸じゃないと、努力ってできないんですかね」

 春日のこの言葉に、思わず涙腺が緩んでしまった。努力というと、つらく苦しいものというイメージがあるけれど、楽しく努力することのなにが悪いのだろう。夢を叶えるためには、自分を追い込んで、苦しまなければならない。そんなことは、ただの思い込みだったのではないだろうか。

 たとえば、「仕事、楽しい?」と聞かれて、「楽しいよ」と返すと、“努力してない人”みたいなレッテルを貼られてしまうような気がする。「幸せに人生を歩んできました」と言う人よりも、「かなり苦労してきたんですよ」と言う人の方が、言葉に重みがあるような気がする。

 だから、私たちはついつい“不幸自慢”をしてしまうのかもしれない。全力で人生を楽しんでいる人の方が、本来は魅力的なはずなのに。

 その一方で、“イタリア人”として活動をスタートした山里(森本慎太郎)は、日本人形の足をペロペロと舐めるネタをやり大ブーイングを食らうなど、確実に迷走していた。

 そんな時に出会ったのが、のちに南海キャンディーズの相方となる“しずちゃん”こと山崎静代(富田望生)だ。この2人のコンビ結成秘話は多くの人に知られているが、改めて映像として観ると面白い。森本慎太郎はもちろんだが、富田望生の憑依っぷりもすさまじく、2人が並んでいると本物の南海キャンディーズを観ているかのような感覚に陥るのだ。

 「コンビを組まないか?」と誘う時は、恋愛さながらの駆け引きがあるというのはよく聞く話だが、男女のコンビとなるとさらに“恋愛色”が濃くなる。山里は、しずちゃんとコンビを組むために、好きなものを全力でリサーチして、話が合うふりをして、存在をアピールして……じわじわと懐に入っていったらしい。「僕とコンビを組んでもらえませんか?」と告白された時のしずちゃんの第一声が、「告白されるかと思った!」というのも、また面白い。

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