『だが、情熱はある』のドラマ構成は革新的だ 髙橋海人×森本慎太郎を繋ぐ3つの軸

『だが、情熱はある』の革新的なドラマ構成

 オードリー・若林正恭と南海キャンディーズ・山里亮太の半生を描いたドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系)が日曜の夜、視聴者の心を熱くさせている。

 お笑いとジャニーズ、熱量の高い2つのジャンルがタッグを組むとあり、オンエア前から注目度が高く、それゆえ「期待値が高すぎるのではないか」と不安視する意見もSNSで見られていた同作。

 しかし、放送が始まると風向きは一変。髙橋海人、森本慎太郎の憑依っぷりは圧巻。普段、ステージの上で華やかにパフォーマンスしているさまを微塵も感じさせない、ひねくれ加減には賞賛の声が集まった。

『だが、情熱はある』は中毒性のある不思議なドラマ “コンビ”という不思議な関係を知る

お笑い芸人における“コンビ”というのは、なんだか不思議な関係だなぁと思う。“家族”なんてたとえるのは、ちょっぴり照れ臭い。でも、…

 また、そんな彼らの憑依を支える演出や、お笑いファン、ジャニーズファン、そしてドラマファンと全方位のファンを置いてけぼりにしないドラマ構成への工夫にも感服する。

 そもそもこのドラマは、若林と山里の半生を描いたもの。2人の生い立ちを誕生から淡々と描くのかと思いきや、そうではないことに気付かされたのは第1話冒頭でのことだった。

 視聴者が見守る中、最初に映し出されたのは、2021年5月31日に開催された『たりないふたり』の無観客配信ライブ会場。結果として5万5千人超の観客を集客したこのライブの本番前、楽屋や舞台袖でのやりとりは視聴者には見えていなかったはずなのに、なぜかリアリティを感じさせてくれた。

【だが、情熱はある】5分でわかる!第1話ダイジェスト!【#髙橋海人 #森本慎太郎】

 そこから飛んで舞台は2009年、2人が初めて出会った居酒屋に。ここでは「飲み会がしんどい」「帰りたい」と思っている両者の心の内にフォーカス。10分前にはビールと、ポテサラ、唐揚げを注文したいと決めていたにもかかわらず牽制しあい、無言を貫く2人。2012年に日本テレビ系で放送されていたバラエティ番組『たりないふたり』でのエピソードを具現化したような描写は、『たりないふたり』ファンの気持ちを高めてくれたように思える。

 この2つのシーンを経た後で、若林と山里、それぞれの学生時代へ。そこから彼らの物語が、改めて展開していったのだ。

『だが、情熱はある』森本慎太郎の憑依っぷりがすごい 髙橋海人の“若林っぽさ”も進化

このドラマ、“山ちゃん”こと山里亮太(森本慎太郎)に共感すると言うと、「マジで!?」と驚かれるかもしれないが、どんな人のなかにも…

 このように『だが、情熱はある』は、第4話放送時点で『たりないふたり』を組んでから現在に至るまでの2人、そして若林、山里の人生と3つの軸で構成。これらがテンポよく切り替わり展開していくので、飽きを感じさせない。

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