『だが、情熱はある』は中毒性のある不思議なドラマ “コンビ”という不思議な関係を知る

『だが、情熱はある』コンビの不思議な関係

 お笑い芸人における“コンビ”というのは、なんだか不思議な関係だなぁと思う。“家族”なんてたとえるのは、ちょっぴり照れ臭い。でも、なんなら家族よりももっと深い部分をさらけ出し合ったりしている。だからといって、“恋人”なんかともまた違っていて……。

 もしかしたら、“運命共同体”のようなものなのかもしれない。相手の人生が、自分の肩に乗っかっているような。自分の人生を相手に預けているような。そんな重苦しくて頼もしい不思議な関係が、“コンビ”というものなのだろう。

 『だが、情熱はある』(日本テレビ系)第4話を通して、“コンビ”に対する正反対な感情が芽生えた。

 まず、若林(髙橋海人)と春日(戸塚純貴)による「ナイスミドル」を見ていると、「コンビっていいな」と思わされる。家族に芸人の仕事をバカにされて、家のなかには居場所がない若林。とにかく将来が不安で、ようやく手に入れた仕事は全然うまくいかない。

 それでも、一緒に夢を追いかけて、どんな時でも味方でいてくれる春日の存在が、彼を救ってくれていたのだろう。この世の中にたったひとりでも、自分の存在意義を認めてくれる人がそばにいたら、それだけで生きていけたりするのだ。

 その一方で、山里(森本慎太郎)と和男(清水尋也)のコンビ「足軽エンペラー」はあまりにもしんどすぎる。東京の人気番組『ガチンコ』の新企画「漫才道」で優勝を果たしたのに、全然幸せそうじゃない。なんなら、どん底にいる「ナイスミドル」の方が楽しそうに見えてしまうのだから不思議だ。

 前回コンビを組んだ時と同じく、山里が一生懸命すぎるせいで和男を追い詰めてしまう。そんな山里は、やっぱり“悪”のように描かれていたが、私には彼の気持ちもちょっぴり分かる。いや、もちろん言い方はあると思う。少し遅刻しただけで、あそこまで激怒する必要はないし、ましてや「和男くんは俺が売れるための道具」なんて言い方は、絶対にするべきではなかった。

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