『おむすび』のコロナ禍描写はなぜリアル? スタッフ・キャスト陣による“あの頃”の記憶

NHK連続テレビ小説『おむすび』が現在放送中。平成元年生まれの主人公・米田結(橋本環奈)が、どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”を胸に、栄養士として人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”。
第23週のタイトルは「離れとってもつながっとうけん」。舞台は令和2年(2020年)となり、コロナ禍に突入。全国の学校が一斉休校、イベントの中止など、数年前に私たちが経験した不安な日々が描かれている。

制作統括の真鍋斎は「現実的に一番大変だったのはその翌年のデルタ株だったと記憶してますが、人々がもっとも恐怖したのは、やはり発生初期の何がなんだかわからない混乱の状態の中で右往左往していた2020年2月から4月の頃でしたので、そこにスポットを当てました」とし、「コロナ禍は3年程度ありますが、俳優のみなさんも“ある期間を切り取る”という描き方を素直に受け止めていたんじゃないかなと思います」と、キャストの反応を語る。
第113話では、市役所職員・若林(新納慎也)と結の父・聖人(北村有起哉)によるコミカルな描写も話題に。「ソーシャルディスタンス」に「エア指切り」など、コロナ禍初期の“あるある”が詰め込まれたワンシーンに、思わず笑いがこみ上げた。
真鍋は「素晴らしいですよね。僕はあんなに面白いシーンになるとはまったく思っていませんでしたが、すごく気持ちがわかるなと。新納さんと北村さんは相談しながらやったのだろうと思いますが、最高ですよね」と2人の芝居に感嘆。「若林のように警戒している人がいる一方で、聖人のようにどのぐらい気をつけていいのかわからず、平気で近づいていこうとする人もいる。若林は行政の人なので、とくに『自分がコロナになってはいけない』という思いもあって、そんな2人の距離感が絶妙でした」と唸った。

さらに、「実は細かいところで言うと、若林がつけているのはアベノマスクなんです。『行政の人だからアベノマスクをしていただろう』と、新納さんがご自分で持ってきたんですよ」と、新納の私物であるアベノマスクを使用して撮影したという裏話も。
「もちろん台本がベースになっていますが、みなさんそれぞれに苦労された経験があるからこそ、いろいろとアイディアを持ち寄って作り上げていくことができました。決して茶化しているわけではありませんが、そういったところのディテールにこだわっていけるだけの余裕が、この“対コロナ”というものに対してできたことが本当によかったなと思います」(真鍋)




















