『それパク』クールな重岡大毅が見せた意外なギャップ 胸を打つ表情豊かな芳根京子の演技

『それパク』重岡大毅の意外なギャップ

 芳根京子が主演を務めるドラマ『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系)が4月12日よりスタートした。本作のテーマはズバリ「知的財産」。略して「知財」。物としての財産ではなく、「知的創造活動によって生み出された財産的価値を有する情報」を指す。

 情報漏洩の疑いをかけられた開発部員の藤崎亜季(芳根京子)が、調査のために親会社からやってきた弁理士、つまりは知的財産のプロである北脇雅美(重岡大毅)とその特許を取り戻す、というのが第1話の大まかな流れ。「弁理士」をはじめ、「特許公報」「冒認出願」といった一般的にはあまり聞き馴染みのないような単語が登場するが、そこを分かりやすくかつ柔らかくしようとしているのが作品全体からも伝わってくる。

 知財をテーマに、物語を動かしていくのは藤崎と北脇の2人。出会い方は最悪。性格も真反対のいわゆるデコボココンビであるが、第1話から少しづつ影響を与え始めているのが分かる。情に脆くチームを大事にする藤崎に対して、北脇は現実主義で個を優先するタイプ。喜怒哀楽の感情や表情が豊かな藤崎と常に仏頂面な北脇というのも対照的である。だが、冒認出願のために自身が情報漏洩をしたと嘘の証言を勧め、データを頼りに会社の利益だけを目的とする北脇に、藤崎が言う「最低の仕事ですね」という一言が胸を打つ。そんなときに物の弾みで手にした、藤崎が開発したボトルの感触が北脇の考えを一変させていた。

 本作では藤崎が発する擬音がクセになるアクセントを生んでいる。釜炊きご飯を口に入れた際の食感は「たわわわん」。同意を示す際の相槌の「です!」もそれに近いと言えるが、この第1話のキーワードにもなっているのが「きゅるんきゅるん」だ。これは、藤崎が開発したキラキラボトルの特徴を言い表しており、彼女がこだわったのが見た目ではなく、その手触りだった。ソフトボール部時代の経験から滑りにくさを重点に置いたボトルのコーティングが、特許を奪い返すきっかけとなっていく。今まで弁理士としてお堅い言葉と取っ付きにくい雰囲気を醸し出していた北脇が、急に「きゅるんきゅるん」を連呼し始め、さらにはホワイトボードに書く文字がパッと見ただけでは何を書いてあるのか本気で分からないほどに小さかったりと、意外なギャップを見せ始めるのだ。家に帰らず徹夜で情報漏洩の手がかりを探すという言ってみれば“非効率的”な作業もしており、そこは藤崎的とも捉えられるが、まだまだ2人は意見が交わらない水と油。そんな2人が「月夜野ドリンク」に新たに設立された「知的財産部」の同僚に。デコボココンビの誕生だ。藤崎の親友・根岸ゆみ(福地桃子)が言っていた「運命もその人次第」という言葉は、どんな意味を含んでいるのか。これからポイントになってくるのは、北脇と同じ弁理士である又坂市代(ともさかりえ)が言っていた「知財の仕事ってね、誰かのつくり出した汗と涙の結晶を守ることなのよ」というセリフかもしれない。

 劇中の「ナンバーワンじゃなくオンリーワン」というどこかで聞いた覚えのあるフレーズや数々の有名映画に似たシチュエーションが登場するタイトルバックなど、『それってパクリじゃないですか?』というタイトルを逆手に取ったユニークな演出も多々見られた。それがパロディなのか、オマージュなのか、それともパクリなのか。知ってそうで案外知らないその答えを、『それパク』を通じて見つけていきたいと思う。

■放送情報
『それってパクリじゃないですか?』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:芳根京子、重岡大毅(ジャニーズWEST)、常盤貴子、渡辺大知、福地桃子、朝倉あき、豊田裕大、諏訪雅、高橋努、相島一之、赤井英和、野間口徹、ともさかりえ、田辺誠一
原作:奥乃桜子『それってパクリじゃないですか? 〜新米知的財産部員のお仕事〜』(集英社オレンジ文庫刊)
脚本:丑尾健太郎
演出:中島悟ほか
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:枝見洋子、森雅弘、岡宅真由美(アバンズゲート)
オープニング曲:ジャニーズ WEST 「パロディ」(ジャニーズ エンタテイメント)
制作協力:AX-ON、アバンズゲート
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/sorepaku/
公式Twitter:@sorepaku_ntv
公式Instagram:@sorepaku_ntv
公式TikTok:@sorepaku_ntv

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