重岡大毅の演技には色気も宿る いかなる役柄も許される“懐の深い”俳優になるまで
このようにして重岡は「憑依型の役者」とも呼ばれるようになる。そして感情を体当たりに演じていたのが、2022年放送の主演ドラマ『雪女と蟹を食う』(テレビ東京系)だ。演じたのは、冤罪により全てを失い、人生に絶望し自殺を考えるも一歩踏み出せない男・北。死ぬ前に北海道で蟹を食べて死のうと思いたち、図書館で出会ったセレブ妻・彩女(入山法子)を襲おうと家に押し入るも、全てを受け入れた彩女と共に旅をすることになる。北という役は“弱い”人物で、マウントをとっているつもりでも全ては歳上の彩女の掌の上。不安や不満を体でぶつける男のサガともいえる精神的な幼稚さがある、そうした人物像を演じた。これまでいい人の役が多かっただけに役柄の急変ぶりのインパクトが大きかった。
重岡大毅の“泣きの演技”が新境地へ 『雪女と蟹を食う』“死”と“生”を描いた凄まじい第1話
7月8日深夜より放送開始となった、『雪女と蟹を食う』(テレビ東京系)。漫画家Gino0808による同名作品を原作とした本作は、自…
一方で、人間臭さは相変わらずだが、刹那的な感情や弱さを抱えた演技に色気が出るようになり、どこかジェームズ・ディーンやリバー・フェニックスが持つナイーヴさに近いものを感じた。演技力もさることながら、汚れ役でも負け役でも何を演じても許されてしまう懐の深さ、ここに重岡が実力派と言われる理由の一つがある。
さて、今回の『それってパクリじゃないですか?』では、芳根京子が演じるお人好しで情にもろい知財初心者の藤崎亜季の上司である、ドSで妥協ゼロの知財エリート・北脇雅美を演じている。北脇は、仕事においては完璧で隙がなく、合理的で無駄を嫌うため、情にもろく感覚的な亜季に対して批判的で厳しい言葉をかけるといった、笑わない役を演じている。これまでの役とは違う、不自然に完璧(風)な人を演じるため、視聴者のイメージは一変するかもしれない。
ただ、この役の面白さは堅物なことで、商品説明をする時の「きゅるんきゅるん」を真顔で言ったり、ホワイトボードに書く文字が小さいといった笑いに繋がり、澄ました顔で三枚目に移行できるそのギャップが面白い。そうして最後に亜季を救う優しさもあり、逆に人間味を感じる魅力的なキャラとなっている。とはいえ、「ビジネスに正義なんかない」という冷徹になった裏側には理由があるようで、いつその虚勢をぶち破り、熱い本性を見せるのかが今後の見どころだろう。振り返ると、『これは経費で落ちません!』での役と真逆で、お人好しで人間味溢れる北脇にどんどん感化されていくはず。芳根も芯の通った熱い俳優なので、2人の掛け合いに注目だ。
■放送情報
『それってパクリじゃないですか?』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00〜放送
出演:芳根京子、重岡大毅(ジャニーズWEST)、常盤貴子
原作:奥乃桜子『それってパクリじゃないですか? 〜新米知的財産部員のお仕事〜』(集英社オレンジ文庫刊)
脚本:丑尾健太郎
演出:中島悟ほか
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:枝見洋子、森雅弘、岡宅真由美(アバンズゲート)
制作協力:AX-ON、アバンズゲート
製作著作:日本テレビ
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