『らんまん』寺脇康文演じる蘭光のあまりに大きい存在感 “家”の問題が万太郎を縛る

『らんまん』祖母としてのタキの葛藤

 第9話であらためて焦点が当てられたのが「家」の問題だった。分家の豊治(菅原大吉)はことあるごとに万太郎が小さいことを槍玉に挙げて、息子の伸治(坂口涼太郎)が跡継ぎにふさわしいと主張してきた。豊治は高価な書物を買い求める万太郎を見て、またしてもタキに小言を言って焚きつける。

 それを聞いたタキ。孫の様子に不安を抱いていたところ、周囲からなじられ、当の万太郎自身が「当主らあ嫌じゃ」と言い出す始末で、頭が痛いとはこのことだ。勉学に熱中し、蘭光になつく万太郎を目にして、男親がいないのが原因と思ってしまうのも不安の裏返しである。タキ自身、万太郎を育て上げることに相当のプレッシャーを感じていることが伝わってきた。

松坂慶子の表情と声色の変化に注目 『らんまん』は長いキャリアの代表作の一つに

早くも1週目を終え、2週目に突入した朝ドラ『らんまん』(NHK総合)。初回からのことではあったが、松坂慶子の凄みが炸裂している。…

 万太郎といえば、格式ばった旧家の作法が肌に合わず、対照的な躍動感にあふれた自然の姿に素直に心が引かれるのだろう。蘭光から「自然の力は人よりも大きい」と教えを受け、無限に広がる世界に眼を開いた万太郎に家や酒蔵は狭すぎるのだ。第7話では、蘭光の「しきたりにとらわれんと、今こそ変わる時なんじゃ」という言葉もあった。折しも身分社会が終わり、個人の才覚で世に出ていく時代。万太郎が自らの人生にどんな決断を下すか見守りたい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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