『らんまん』小林優仁は多彩な子役だ 力強い演技は『青天を衝け』『真犯人フラグ』でも

『らんまん』小林優仁は多彩な子役だ

 『らんまん』(NHK総合)第2週では、主人公の万太郎は9歳になり、森優理斗から小林優仁がそのバトンを受け取った。“天狗”あらため坂本龍馬(ディーンフジオカ)との出会いで自身の心の沸き立つものを見つけるも、武家の子息だけが通うことを許される学問所・名教館には一切興味が持てずにいた。

 しかしここでもまた、万太郎に大きな影響を与える人物ーー彼が後に恩師と仰ぐことになる池田蘭光(寺脇康文)との出会いが待ち構えていた。素直で吸収力抜群、もともと固定観念に囚われることなくマイワールドを持っている万太郎が“しきたり”に疑問を持ち、どんどん新たな扉を開いていく。そんな姿を小林が瑞々しく、そして力強く見せてくれている。小林の黒目がちな目は「目は口ほどにものを言う」という言葉をよく体現しており、蘭光の言う「今こそ変わる時」という言葉を咀嚼し体得した瞬間の、自身の中で辻褄が合って答えを見つけたような表情が印象的だった。

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 第1週の頃から“自分と弟の性別が反対だったら良かったのに……”と口にしていた姉・綾(高橋真彩)との姉弟仲は良好。周囲の人にどうしても放って置けないと感じさせる万太郎には愛嬌が滲み、このまま優しさを兼ね備えたリーダーに育っていくだろうことを予感させる。興味を持つベクトルは全く異なるものの疑問に思ったことは口にし、自身が信じた道を真っ直ぐ突き進む姿は、小林が大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)で少年時代を演じた主人公・渋沢栄一にも通ずるところだろう。対峙するものに合わせてコロコロと豊かに変化する表情は、多感な時期の心の内を雄弁に物語る。

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 姉との仲の良いやりとりは『真犯人フラグ』(日本テレビ系)での相良篤斗役でも見られる。西島秀俊演じる主人公の息子役を務め、連れ去り事件に巻き込まれるなどトラウマになるような怪奇現象に近い出来事の連続に飲み込まれながらも、篤斗の人懐っこさや人を信じようとする強さが最終的には希望となるような展開だった。あんなに無邪気に家族に守られ笑いながら活発に過ごしていた篤斗が、誤った刷り込みによって父親を見ると怯えるようになってしまう姿はギャップが大きい分、ショックも大きかった。

 小林本人は弟の篤弘と“Space Brothers”というユニットを組み、ミュージシャンとしての顔も持つ多才ぶり。本作では万太郎は“どこに変わるべきポイント”を見つけ、自身の活路を見出していくのか。彼の愛され力を活かして周囲との軋轢を生まずに自分だけのオリジナルな道を歩んでいってほしいと願いながら、万太郎の成長を楽しみに見守りたい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『らんまん』【全130回(全26週)】
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:神木隆之介、浜辺美波、志尊淳、佐久間由衣、広末涼子、松坂慶子ほか
作:長田育恵
語り:宮﨑あおい
音楽:阿部海太郎
主題歌:あいみょん
制作統括:松川博敬
プロデューサー:板垣麻衣子、浅沼利信、藤原敬久
演出:渡邊良雄、津田温子、深川貴志ほか
写真提供=NHK

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