『風間公親-教場0-』冷酷な木村拓哉に翻弄される赤楚衛二 風間道場に属する5人の刑事

『風間公親-教場0-』翻弄される瓜原

 2020年と2021年の正月に、それぞれ2夜連続で放送された『教場』『教場II』の前日譚が描かれるフジテレビ系月9ドラマ『風間公親-教場0-』(フジテレビ系)が4月10日にスタートした。冒頭から『教場』に登場した枝元(富田望生)が警察学校に入学する前、彼女の地元の駐在所の警官(明石家さんま)とのやりとりが描かれることで、この連続ドラマで描かれる物語が“『教場』以前”であることが明示される。そして『教場II』のラストで登場した、風間(木村拓哉)と遠野(北村匠海)の張り込みのシーンに移り、さらにそこから47日前へと遡る。

 窃盗犯を捕まえたことで署長賞を受賞した瓜原(赤楚衛二)は、県警本部の捜査一課への配置換えを命じられる。そこは刑事指導官である風間のもとで犯罪捜査を学ぶ、“風間道場”と呼ばれる場所。早速繁華街で起きたタクシー内での刺殺事件の捜査に加わった瓜原は、その現場で風間と対面。風間からの指導を受けながらタクシー運転手への聞き込みや証拠車両から手掛かりを探していく。そして日中弓(内田理央)という女性にたどり着き、風間に言われるがままに警察署に呼び出して尋問を行うのだが、まんまとかわされてしまうのである。

 「目の前の犯人を取り逃がしても、次の世代の能力を育てる」。教官時代(ドラマの時系列上ではそちらの方が後になるが)の冷徹な風間公親は、この連続ドラマで描かれる“指導官時代”からすでに顕在だったようだ。この第1話で描かれたのは、原作の『教場0 刑事指導官・風間公親』の第1話「仮面の軌跡」と、『教場X 刑事指導官・風間公親』の第1話「硝薬の裁き」の二篇。ドラマのエピソードタイトルが後者になっていたように、比重はやや後者に寄せられていた印象だ。

 前者の原作にあった、被疑者の名前“日中弓”が一筆書きで書け、被害者がタクシーの通る道でその名前を描いていたというやや突拍子もないダイイングメッセージの仕掛けは引き継がれたとはいえ、瓜原がそれに気が付くのは尋問に失敗した後。風間からそれを託された別の刑事によって日中が逮捕された後になってからだ。つまるところ、この事件は瓜原が“風間道場”に加わるための導入、軽いジャブのようなものとして扱われたに過ぎない。

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