『鬼滅の刃』堕姫の妖艶さ×少女らしさを両立させる沢城みゆき 緻密な演技が華を添える

 4月9日から新シリーズ「刀鍛冶の里編」が放送されるアニメ 『鬼滅の刃』。アニメ放送に先駆けて、フジテレビ系『土曜プレミアム』では「遊郭編」の特別編集版が放送される。

『テレビアニメ「鬼滅の刃」遊郭編』特別編集版 放送決定映像 2023年4月1日・8日放送

 「遊郭編」で視聴者を一気に鬼の心情へと引きずり込んだ存在といえば、上弦の陸・堕姫だ。悪役として描かれながらも、温かな兄弟愛で結ばれている堕姫と妓夫太郎のドラマは本作の見どころであると言えるだろう。

 堕姫のキャラクターには、その美しさや気高さ、そして狂気的な一面など様々な要素が含まれている。圧倒的な美貌とサディスティックな言動に、時々にじむ幼さのギャップがたまらない。その背景にあるのが、沢城みゆきの声による表現力だ。沢城が話す言葉や、感情の表現によって、堕姫の妖艶さと少女らしさが見事に両立されている。

 堕姫はことあるごとに、「お兄ちゃん!」と兄として慕う妓夫太郎を呼びつける。なんてことのない兄への呼びかけの一つだが、堕姫といえばこの台詞が印象に残っているファンは多いのではないか。あるシーンでは駄々っ子のように拗ねた声色で、また別の場面では切ない雰囲気で“お兄ちゃん”を呼び出す堕姫。沢城はこの「繊細すぎる声の力」とも言える演技によって、より深く、より強く、堕姫を多面的に作り上げてきた。

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 このキャラクターに深みを与えるためのテンポやアクセントの使い方などで細かいニュアンスを自在に操る演技力は、沢城が過去の作品からブレずに持ち続けてきた一本の軸でもある。

 『デュラララ!!』に登場するセルティ・ストゥルルソンでは、沢城は彼女に深みのある低音の声を与えている。セルティは妖精として存在しているが、沢城の神秘的で存在感のある声は、まさに“セルティの声”として視聴者に記憶されていることだろう。さらにセルティの会話は、スムーズで滑らかな口調で行われるため、沢城はその表現を追求し、声の滑らかさを強調するような演技をしている。

 また『賭ケグルイ』では、沢城はクールで謎多き生徒会長・桃喰綺羅莉を演じている。驚くべきは、沢城がギャンブラーである綺羅莉の相手を惑わしながら用いる独特なトーンや仕草など、細かな表現にも熟練していたことだ。原作ファンも多い『賭ケグルイ』において、沢城の声が綺羅莉の魅力を最大限に引き出している演技であった。

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 綺羅莉の演技では、他のキャラクターと交わす言葉の中にも、その人物像を深めるようなニュアンスが含まれているが、沢城はその微妙なニュアンスも見逃すことなく、綺羅莉の表現を緻密に描き出している点も見事だ。

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