ファンが心配するマーベルの運営体制 ヴィクトリア・アロンソの解雇でMCUはどうなる?
こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします! 今日はちょっと気になるマーベルの“人事”の話です。
ここ最近、アメコミ系の情報サイトをにぎわせたのは、マーベル・スタジオを2008年の『アイアンマン』の頃から支えてきたヴィクトリア・アロンソが親会社のディズニーから突然解雇されたというニュースです。
まずこのヴィクトリア・アロンソはどういう人かというと、アルゼンチン出身の女性プロデューサーです。もともとジェームズ・キャメロンが立ち上げた視覚効果(VFX)の会社デジタルドメインでプロデューサーとして働いていました。そして2006年(2005年と書いている文献もあります)、マーベル・スタジオにVFXおよびポストプロダクションのエグゼクティブバイスプレジデントとして招かれ『アイアンマン』を担当します。以来、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)作品に関わり、2012年の『アベンジャーズ』ではエグゼクティブ・プロデューサーの肩書を手にします。
その後も順調に出世し、2021年にはマーベル・スタジオ内の「フィジカル、ポストプロダクション、VFX、アニメーション」部門の取締役/最高責任者に昇進しました。またディズニープラスの『ワンダヴィジョン』も担当しているので、この作品でエミー賞にノミネートされたプロデューサーにもなります。こうした活躍が認められ業界紙の“最も影響力のあるヒスパニック系女性”にも選ばれたこともあります。確かにMCU作品を観るとVictoria Alonsoという名前はクレジットで目にしますよね。というわけでMCUの立役者ともいうべき彼女が突然辞めさせられたので、マーベル・スタジオ内でなにか大変なことが起こっているのでは?とファンは心配しているわけです。
その理由について様々な憶測が飛び交っており、また両者の言い分は法廷にまでいきそうです。まあそもそも大企業の人事判断(解雇も含む)というのはとてもデリケートな問題であり、僕もネットの噂をうのみにして安易な推測やここに書くことは避けたいのですが、このニュースを聞いて2つのことを思いました。まず「アロンソ氏の解雇」よりも「アロンソ氏の解雇がこれだけのニュースになる」ということの方に驚きました。
ちょっと前の映画ファンなら、関心のあることといえば、映画作品そのものであり、主演俳優であり、せいぜい監督ぐらいまででしょう。その作品を作っている映画会社の人事なんて興味なかったと思います。しかしMCUというのはもはや映画を超えた巨大なプロジェクトであり、それが「きちんと運営されているか」までもがファンにとっての関心事になってしまっている。だから「MCUの運営体制にひびが入ったのでは?」というのは大変心配なニュースなわけです。
同じようなことをDCとジェームズ・ガン監督の時にも感じました。DC映画の立て直しということで、ジェームズ・ガンがDCスタジオの共同CEOに選ばれた時、「ガン監督がDCでどんな映画を作るんだろう?」ではなく「ガン監督がDCをどうしてしまうのか? DCがこの先どうなってしまうのか?」についてファンやメディアは大騒ぎしました。特に「ガン監督がヘンリー・カヴィル(スーパーマン役)をリストラした、DCの運営をガン監督に任せて大丈夫なのか?」みたいな話題の方が大きく取り上げられましたよね。どんなヒーローが次の映画に登場するのか?と同じぐらいの熱量で、ヒーロー映画を作っている会社の人事のバタバタがネタになっている、というのは大変興味深いです。