『ウツボラ』前田敦子演じる朱/桜は何者なのか? 耽美な魅力に惑わされる25分

『ウツボラ』耽美な魅力に惑わされる第1話

 すべてが不確定で、曖昧。それがこの物語をひとことで言い表すのに最もふさわしい言葉であろう。

 前田敦子が主演を務めるWOWOWの連続ドラマW-30『ウツボラ』が3月24日より放送・配信スタートとなる。それに先立ち、YouTubeで第1話が無料先行配信中だ。きっとその約25分間で誰もが、本作のミステリアスで耽美な魅力に心を絡めとられる。

 ある日、ひとりの若い女性が雑居ビルの屋上から飛び降りる。彼女の名前は藤乃朱(前田敦子)。身元を証明するものを朱は何一つ所持しておらず、警察は唯一残された携帯電話に登録されている2人の人間に連絡をとる。

 一人は、『ウツボラ』という新連載で脚光を浴びている人気作家の溝呂木舜(北村有起哉)。朱とは出版社のパーティで知り合った、あくまでも小説家と読者の関係だという。そして、もう一人が朱の双子の妹を名乗る三木桜(前田敦子)という女性だ。遺体の安置所で彼女と出会った溝呂木は、朱と瓜二つのその風貌に思わずたじろぐ。

 だが、溝呂木には桜に近づかねばならぬ理由があった。実のところ、溝呂木の新作は長いスランプの末にたまたま出版社で見つけた朱の小説を盗作したものであり、彼女が書き溜めていたであろう作品の続きを手に入れる必要があったからだ。作家生命の危機に直面する中、溝呂木は生前の朱と同じく、盗作の事実を知った上で自分に近づき、誘惑してくる桜に翻弄されることとなる。

 一方、顔が潰れた朱の遺体に不信感を持つ、刑事の海馬(武田航平)は桜が警察に提出した情報がすべてデタラメだということに気づく。また、朱が所持していた携帯の契約者は秋山富士子という名前の大学生で、現在行方不明になっていた。

 死んだのは本当に朱なのか。そもそも朱という人物は本当に存在するのか。だとすれば、彼女の双子の妹を名乗る桜は何者なのか。不確定で曖昧な情報が私たちを大いに混乱させる。

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