『リバーサルオーケストラ』全てにおいて最高のフィナーレに クラシックの素晴らしさ描く

『リバーサルオーケストラ』オケの魅力

 『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ系)が3月15日に最終回を迎えた。全10回、約3カ月という短い期間ながら、ドラマ自体への評価とSNSでの盛り上がりがクレッシェンドしていった作品だったように思う。

 そういった反響は、確実にキャストやスタッフ陣にも熱量となって伝播していく。その1話、1話の積み重ねが結実したのが、7分間にも及ぶ玉響のラストステージだ。いや、玉響にとっては未来に続く節目となる演奏と言った方が正しいだろう。西さいたまシンフォニーホールのこけら落とし公演で披露するのは、「チャイ5」こと「チャイコフスキー交響曲第5番」。高階フィルとの対決に負けた場合、玉響は即解散となる。

 そんな大事な公演に朝陽(田中圭)は現れなかった。玉響がこけら落としに出られるのを条件に、朝陽はそのステージの指揮台に立たないこと、そして高階フィルの常任指揮者になることを高階フィルのオーナー・藍子(原日出子)と約束を交わしていた。オーケストラとは、指揮者と多くの楽器とが一体になって演奏することを指す。初音(門脇麦)がコンマスとしてオケ全体を指揮しても、それはそれできっと素晴らしい演奏になるだろうが、それではオーケストラでもなく、玉響として納得できる演奏でもないのだ。

 初音は朝陽を確保。籠城作戦の末、朝陽は再び玉響のステージに立つこととなる。元々は三流以下のポンコツだった玉響をホールに相応しいオケにすることが朝陽のミッションだった。「チャイ5」は運命と闘い、輝かしい勝利を手にするまでを描いたシンフォニー。様々なパートが順番にメロディーを担当する、一人ひとりが主役になる楽曲だ。濃密な4カ月を経て、玉響は見違えるほどの成長を遂げた。それは初音や朝陽も含めてのこと。玉響を愛する心、音楽を楽しむという演奏する上での原点とも言える志――それらが笑みとなり、そして、音となって会場いっぱいに溢れていく。そこに上乗せされていくのはここまで重ねてきた玉響の物語。聴くものの心を震わす理屈抜きの興奮、クラシックの素晴らしさがそこにはあった。

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