永山絢斗は心の”飢え”を見事に演じる 『リバーサルオーケストラ』三島が抱えていた葛藤
崖っぷちポンコツオーケストラ・児玉交響楽団“玉響”の快進撃と、そして混線する恋模様に注目が集まる 『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ系)。
突如表舞台から姿を消した“天才ヴァイオリン少女”としての谷岡初音(門脇麦)の過去を事あるごとに刺激し、そしてステージから逃げ出してしまったかつてのトラウマを無理矢理にでもこじ開け対峙させようとするのが、彼女の幼なじみで日本屈指の人気ヴァイオリニスト・三島彰一郎(永山絢斗)だ。
幼い頃から同じように天才だと周囲から期待されてきたのに、その期待に応え続けなければならないプレッシャーから一人逃げ出してしまった初音。そんな中途半端なことをした初音が許せない気持ちもあったのだろうが、それよりも三島はずっと寂しかったのかもしれない。幼なじみで同志として認めていた彼女から、突然置いてけぼりを食らったようで。
「覚悟がないならこっち入ってこないでくれないか。やっぱりステージに立つ資格ないよ、お前には」
これももちろんまたヴァイオリン奏者として歩み始めた彼女の本気度を試す意味合いもあったのだろう。しかし、幼少期から自分にはこれしかないと決め全てを懸けてヴァイオリンに打ち込んできた三島からすれば、あれだけの才能がありながらそれを不意に手放してしまえて、“出たり入ったり”できてしまえる初音のことがどこか恨めしく、羨ましくもあったのかもしれない。
そんな複雑な三島の心情を忍ばせ、見せてくれているのが永山絢斗だ。第4話での登場シーンから既に、その素性が明かされる前であっても三島が突然玉響の公演会場にいる場違い感、ただ者ではない気になる存在感を充満させていた。
永山絢斗が『インビジブル』に登場 柴咲コウ演じるキリコの弟・キリヒト役に
永山絢斗が、5月13日放送のTBS金曜ドラマ『インビジブル』第5話に登場した。 本作は、警察すら存在を知らない凶悪犯、通称“…
周囲とは馴染まない異質感が思う存分発揮されていたのが『インビジブル』(TBS系)でのキリヒト役だろう。キリヒトは、裏社会を牛耳り、あらゆる凶悪犯罪者たちの取引を仲介する犯罪コーディネーター“インビジブル”という得体の知れない役どころ。しかし、自身に授けられてしまった特殊能力を持て余し、万能感とともにどこか孤独も感じているような苦悩や虚無感も滲ませる。自分と同じく“選ばれし者”でありながら、その特殊能力を封印し自分ではなく外部の人間と手を組み始めた姉・キリコ(柴咲コウ)のことを恨めしく思い、なんとか自身が抱える闇に引き摺り込もうとするキリヒトは、どこか三島の初音への少し屈折した想いとも重なるところがある。