『罠の戦争』“サスペンスの女王”が黒幕に 鴨井大臣役にも生きる片平なぎさの愛され力
この人だけは、信じたい。『罠の戦争』(カンテレ・フジテレビ系)の鴨井(片平なぎさ)は、視聴者にそう思わせる人物だった。もちろん、これまで“フラグ”が立っていた場面もあった。それでも、鴨井大臣に限ってそんなことをするはずがない。彼女は、弱き者に手を差し伸べる正義の人なのだから……と。
だから、鷲津(草彅剛)の息子・泰生(白鳥晴都)が突き落とされた“あの日”、鶴巻(岸部一徳)の部屋に駆け込んだ人物が鴨井だと分かった時は、苦しかった。あなただけは信じたかったのに、どうして? 何度も何度も頭のなかで問いかけた。
そうしているうちに、実は心の奥底で彼女を疑っている自分がいたことに気付いてしまった。でも、その気持ちに蓋をしてきたのは、鴨井が私たちにカッコいい背中を見せてきてくれたから。『罠の戦争』には、可南子(井川遥)や、蛍原(小野花梨)など“こんな人間になりたい”と思わせる女性たちがたくさん登場しているが、私にとっては鴨井もそのひとりだった。
鴨井を演じている片平なぎさには、愛され力が宿っている。2014年放送のドラマ『ディア・シスター』(フジテレビ系)で演じた七重は、娘たちを振り回す破天荒なお母さんだったけれど、どこか憎めなかったのは、片平に放っておけない魅力があるから。
『知ってるワイフ』(フジテレビ系)で認知症を患っている久恵を演じていた時も、なんだか愛おしく思える瞬間が多々あった。その愛され力が、鴨井にも生かされていたのだと思う。どうしても、人々の愛を引き寄せてしまう輝きが、彼女には宿っているのだ。
その一方で、片平は“サスペンスの女王”としての顔も持つ。1992年にスタートして以来、根強い人気を集める『赤い霊柩車』シリーズ(フジテレビ系)の主演を務め、3月17日にはシリーズファイナルとなる第39弾が放送。そのほかにも、数多くのサスペンスドラマに出演してきた彼女は、シリアスな場面でこそ映えるとの声も多く上がっている。
たしかに、鷲津に「あなただったんですね。幹事長がかばったのは」と言われた時の、目力にはグッと引き込まれた。鴨井にもきっと、守るべきものがある。“絶対に負けない”という強い意志を感じる瞳だった。