『罠の戦争』鶴巻幹事長に漂う“ラスボス感” 悪役っぽいのに信じたくなる岸部一徳の“魔力”

『罠の戦争』岸部一徳のラスボス感

 また、彼には空気をガラリと変える力がある。とくに印象的だったのが、第4話。「鶴巻憲一と語る夕べ」が行われた時のことだ。岸部が登場した瞬間に、それまでふわふわと浮き足だっていたロビーの雰囲気が、一気にピシャリと締まった。

 もちろん、ヒールをコツコツと鳴らしていたり、大声を出して喋っていたのなら分かる。でも岸部の場合は、決して威圧感を出しているわけではない。むしろ、ソロソロと歩いているのにもかかわらず、迫力を感じさせるのだ。これも、岸部に備わっている力なのだろうか。ちょっとやそっとのことでは、動じない存在感。「さぁ、みなさん。余興は終わりだ。まもなく、総選挙ですよ」と微笑まれただけで、周囲は思わず拍手をしてしまう。とにかく、人々を惹きつけるカリスマ性がすごい。

 静かに怒っている人物が、いちばん怖い。“静かなるドン”鶴巻は、まさにそれを体現している人物だ。だが、そんな彼の弱みを握るべく、奮闘している鷲津も、同じく静かに怒っている。この静かな者同士の戦いは、一体どうなっていくのか。ただ、ここまで黒幕が明らかにされているにもかかわらず、まだ心のなかで鶴巻を信じたくなってしまうのはなぜだろう。これが、岸部一徳が放つ魔力のようなものなのだろうか。

■放送情報
『罠の戦争』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:草彅剛、井川遥、杉野遥亮、小野花梨、坂口涼太郎、白鳥晴都、小澤征悦、宮澤エマ、飯田基祐、本田博太郎、田口浩正、玉城裕規、高橋克典、片平なぎさ、岸部一徳ほか
脚本:後藤法子
演出:宝来忠昭
演出・プロデューサー:三宅喜重
プロデューサー:河西秀幸
音楽:菅野祐悟
主題歌:香取慎吾×SEVENTEEN「BETTING」(Warner Music Japan)
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/wana/

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