『舞いあがれ!』ずっと想い合ってきた舞と貴司の20年 一気に溶けた“幼なじみ”の距離感
たとえ短歌に造詣が深くなく、共にパイロットを目指した時間がなくとも、同じものを見て違う感想を抱き、異なる言葉を発する者同士、別個の経験を持ち寄り一緒にいられる。
「舞ちゃんやったら何でもできるよ(中略)舞ちゃんの未来はものすごく開けてんねんで」と目標が見えなくなった舞に優しく声を掛けていた貴司。どんどん自分の道を切り開いていく舞の姿をちょっと眩しそうに、そして嬉しそうに見守ってきた彼は、きっと当時から“舞ちゃんの未来”の片隅にずっと自分がいて、“今このとき”がずっと続くことをただ願っていたのだろう。その時々の記号的な関係性なんてどうでもよかったのだ。
「いっつも助けてくれて、ありがとう」
「助けてもろてんのは、僕のほうやで……もう、ずっと」
大切に、だからこそどこか遠慮がちに互いを想い合ってきた舞と貴司の間にあった窓越しの距離感が、“幼なじみ”フィルターを通しての関係性が一気に溶け合い、マーブルに混ざり合う。辿り着くべくして辿り着いたピース同士、あるいはそこにあることがあまりに自然すぎる原風景のように、抱き合った2人の姿はピタリと収まる。もうその配置しか考えられないほどのしっくり感と安堵と心地良さに包まれた2人の姿が、ただただ愛おしく、美しかった。
■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
2022年10月3日(月)から 2023年4月1日(土)まで
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK