『罠の戦争』草彅剛が見せるノーガードの感情表現 現実をモチーフにした政界の罠

『罠の戦争』草彅剛のノーガードの感情表現

 選挙戦最終日の亨は策に頼らず、自らの足で立ち、素のままの自分で勝負した。「私はずるい大人でした」から始まるスピーチで泰生にとって誇れる父親でありたいと聴衆に訴え、「大きな力に潰されそうになっても、声を上げ、知恵で乗り切る。弱くても強い代議士に私はなりたい」と決意する姿には真摯さがあふれていた。ヒリヒリする駆け引きが繰り広げられる『罠の戦争』で、各話のクライマックスには決まって亨が感情を表出するシーンが配置されている。第5話も魂のほとばしる名演だったが、内面を吐露した瞬間の草彅は無防備で、ノーガードのまま自己をさらけ出しているように見える。金と嘘と罠にまみれた本作で、主演として作品を背負う気概に触れると、その瞬間だけは信じるに値するものがあると思えるのだ。

罠の戦争

 第5話のエピソードは実際の事件や慣習をモチーフにした箇所が多くあった。込み入った罠の応酬はなかったがドラマとしては十分成立しており、逆説的に現実の政治に罠が張り巡らされていることを感じさせた。政治は人間が行うもので、味方にも敵にもなるのが政治家という職業かもしれない。今作の登場人物でとりわけ肚が読めないのが竜崎、鶴巻、鷹野(小澤征悦)たち政治家で、彼ら自身が罠にもなりうる。国会議員になった亨は、一歩間違えれば命取りになる危険地帯をどのように潜り抜けていくのだろうか。

■放送情報
『罠の戦争』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00〜放送
出演:草彅剛、井川遥、杉野遥亮、小野花梨、坂口涼太郎、白鳥晴都、小澤征悦、宮澤エマ、飯田基祐、本田博太郎、田口浩正、玉城裕規、高橋克典、片平なぎさ、岸部一徳ほか
脚本:後藤法子
演出:宝来忠昭
演出・プロデューサー:三宅喜重
プロデューサー:河西秀幸
音楽:菅野祐悟
主題歌:香取慎吾×SEVENTEEN「BETTING」(Warner Music Japan)
制作著作:カンテレ
©︎カンテレ
公式サイト:https://www.ktv.jp/wana/

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