『探偵ロマンス』太郎が“他者との交わり”の答えを出す 推理の余白を残した衝撃的なラスト

『探偵ロマンス』推理の余白を残したラスト

 『探偵ロマンス』(NHK総合)最終回である第4話を観終わり、思わず「なんてラストだ!」と口走ってしまった。濱田岳が出演した2月10日放送の『あさイチ』(NHK総合)にて、鈴木奈穂子アナが「最後まで目を離しちゃいけない」と話していたことからある程度身構えていたものの、こんな驚きのラストになるなんて。

 その結末に触れる前に、この第4話の見どころはなんと言っても平井太郎(濱田岳)と白井三郎(草刈正雄)、蓬蘭美摩子(松本若菜)、狭間勇(大友康平)が、この物語の黒幕であり怪盗の住良木平吉(尾上菊之助)と笠森 (浜田学)が待つ“秘密の舞踏会”という名のアジトに乗り込んでいくシーンである。

 第1話の三郎とピス健(土平ドンペイ)の銃撃戦を大きく上回るガンアクション。先述した『あさイチ』直前にオンエアされていた朝ドラ『舞いあがれ!』のエンドカードにて、濱田がワイヤーに吊らされ舞いあがる様子が映し出されていたが、それはほんの一部であり、“秘密道具”となっていた太郎のカフスの爆竹、住良木が太郎と三郎を追い込んだ粉塵爆発と台車の仕掛け、そして住良木を捕まえるため倉庫の4階(!)から三郎が跳び、助けるアクションシーンはこの物語のクライマックスであり、太郎の「なんて、ジジイだ!」のセリフが抜群に効いている。ただ、虚実織り交ぜながらのエンターテインメント作品とはいえ、あまりにぶっ飛んだ、浮世離れしたアクションシーンを見せられると、少々引いてしまうところは多少なりとも感じてしまった(ビー玉なんかは特に)。

 警察に拘束された住良木が捨て台詞のように吐く「人は罪深き生き物だ。味わうともっと欲しくなる」。このセリフで筆者が連想したのが「夢っていうのは毒」「理想とは毒」というワード。『探偵ロマンス』で描かれてきたのは、他者との交わりだ。女性でも男性でもないお百(世古口凌)が、他人に、時代に理解されなかったように、何者でもない郷田初之助(泉澤祐希)もまた「あなたの物語が聞きたい」という住良木の口車に乗せられ、後工田寿太郎(近藤芳正)を襲撃することになってしまう。そして、住良木にも三郎との因縁と彼への愛憎入り混じる複雑な感情があった。三郎は「他人の人生を塗り潰すやつが嫌い」という正義感から行動しているが、住良木には太郎と三郎から相手にされることにすら悦に浸っているかのような節がある。「探偵と怪盗のロマンス」、さらに三郎に向けられた「やはりあなたは美しい」というセリフはそのことを象徴していると言えるだろう。

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