『女神の教室』から学ぶ“線引き”という法律の曖昧さ 苦しみから立ち直ろうともがく南沙良

『女神の教室』から学ぶ法律の曖昧さ

 終盤の実務演習クラスで藍井(山田裕貴)は日本の再犯率は5割と言っていたが、それはあくまでも検挙者数における再犯者の割合であり、令和3年は48.6%だった(「令和4年版犯罪白書)参照)。一般的に痴漢の再犯率は3割と言われているが、こちらも劇中で触れられた通り泣き寝入りとなるケースも多く、実際はもっと再犯率が高いのかもしれない。ここで浮かぶのは、実務演習クラスでXへの弁護方法として提示された、不起訴に導いた上でXが再び同じ行為をしないための防止策だ。加害者の再犯を防止するため、とりわけXのような常習者に対して一種の治療的行為が必要であるという結論が出されたことは非常に興味深い。なんにせよ、至るところに「考えるべきこと」が詰め込まれたエピソードであった。

 さて、話を冒頭の実務演習クラスメンバーに対する嫌がらせに戻すと、以前バイト先のマンションの外にカラスの死骸があったことを思い出す水沢(前田拳太郎)に、アパートのポストに黒い折り鶴が入れられていたという桐矢(前田旺志郎)。自転車のサドルに鳥のふんが付けられていた天野(河村花)。照井にも“百舌鳥の早贄”の写真が入れられていたことから、鳥にまつわる嫌がらせだと判別され、最終的に「crow」(=裁判官の法服を想起させる烏であると推察される)というアカウントの見えない存在にたどり着く。その正体の解明が、ドラマのひとつの折り返しになるのだろうか。

■放送情報
『女神の教室~リーガル青春白書~』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:北川景子、山田裕貴、南沙良、高橋文哉、前田旺志郎、前田拳太郎、河村花、佐藤仁美、宮野真守、小堺一機、尾上松也、及川光博
脚本:大北はるか、神田優
プロデュース:野田悠介
演出:澤田鎌作、谷村政樹
音楽:武部聡志
主題歌:Vaundy「まぶた」(SDR)
法律監修:水野智幸(法政大学大学院法務研究科)
制作・著作:フジテレビジョン
©︎フジテレビ
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