『舞いあがれ!』横山裕が悠人の絶望を体現 虚ろな姿に“寄る辺のない寂しさ”が浮かぶ

『舞いあがれ!』横山裕が悠人の絶望を体現

「雨、やむんやろうか……」

 IWAKURAは社長であるめぐみ(永作博美)の堅実な経営判断の連続でようやく嵐をくぐり抜けた。しかし、一難去ってまた一難。今度はその息子で、もともとIWAKURAのオーナーだった悠人(横山裕)の頭上に暗雲が立ち込める。

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第19週初日の放送では、横山裕が悠人の絶望を全身で表現した。

 カリスマ投資家として名を馳せる悠人のインサイダー取引疑惑はテレビで大きく報道された。インサイダー取引とは、会社に関する未公表の情報を元に関係者がその会社の株を売買し、利益を得ること。このような行為は金融商品市場における公平性と健全性を損ねるものであり、専門家は「プロの投資家としてあるまじき行為」と痛烈批判する。悠人の場合、直前に巨額の損失を取り戻しており、それが不正取引の噂に信ぴょう性をもたらしていた。

 まるで確定かのように報じるテレビを見て、雪乃(くわばたりえ)はすぐにめぐみへ連絡する。ひとまず悠人に事情を聞こうと、めぐみも舞(福原遥)も電話をかけるが、一向につながらない。その頃、悠人は共同経営者の高橋(マエチャン)から「一人で暴走しやがって」と責められていた。何も言えずにただ手を震わす悠人。その色が落ち、セットもされていない髪の毛が絶望を物語る。もはや、ただの噂とは考えにくい。

 IWAKURAには問い合わせが殺到。会社の前にも報道陣が集まり始め、めぐみと舞は社員に事情を説明する必要があった。迷惑をかけることを謝罪する二人だったが、逆に強く励まされる。一度は解雇せざるを得なかった人や、いつクビを切られるか分からない不安に晒してしまった人までがめぐみたちに温かい声をかけてくれるのは、今は会社を信頼してくれているから。それもこれも、ピンチの時に工場を買い取ってIWAKURAを救ってくれた悠人がいてくれたからである。

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