『ガンニバル』柳楽優弥が体現する“善”と“悪”の境界線 “人間らしさ”が垣間見えた後藤家も

『ガンニバル』混ざり始めた“善”と“悪”

 一方、久々に登場した監察医の中村(小木茂光)は、狩野の死にもつながるいくつかの事実を大悟に告げる。狩野が病院に連れてきた銀が患っていたとされる“クールー病”。それは第2話ですみれが大悟に話していた“食葬”を行う風習のあったパプアニューギニアのフォレ族の間で1960年代の初頭に広まった脳の変性疾患のひとつであり、ほとんどの場合で発症から2年以内に死に至る。現代ではほぼ消滅したと思われていた病だ。数十年前に同じような症状を患ったという無戸籍の子ども。大悟は、それが“あの人”の正体なのではないかと考えるのだ。

 “祭り”という村社会の異質さをあらわす上で絶好のシチュエーションが用意された最終話を前に、“確信”を掴むために有希とましろを先輩刑事に預け一人で供花村の後藤の屋敷へと乗り込んでいく大悟。次で物語としてのひとつのピリオドが打たれるとしても、ここまで高まりに高まった供花村の暗部への好奇は、あと1話だけではとても満足しきれない。

■配信情報
『ガンニバル』
ディズニープラス「スター」にて独占配信中
出演:柳楽優弥、笠松将、吉岡里帆、高杉真宙、北香那、杉田雷麟、志水心音、中村祐太郎、吉原光夫、六角精児、酒向芳、中村梅雀、倍賞美津子
原作:『ガンニバル』二宮正明(日本文芸社刊)
監督:片山慎三、川井隼人
脚本:大江崇允
プロデューサー:山本晃久、岩倉達哉
©2023 Disney

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる