『警視庁アウトサイダー』に朝ドラ俳優集結　西島秀俊×濱田岳×上白石萌歌が見せる二面性

　『警視庁アウトサイダー』（テレビ朝日系）第2話で誕生した異色刑事トリオには朝ドラ俳優が勢揃いしているが、それぞれが本作と全く違う役柄を演じており、そのギャップが面白い。

　まず、本作では警視庁で暴力団対策を担ういわゆる“マル暴”から、とあるトラブルに巻き込まれ警察署の刑事課に左遷された破天荒な刑事・架川英児役を演じている西島秀俊は、『おかえりモネ』（NHK総合）でヒロイン・百音（清原果耶）の気象予報会社の上司・朝岡役を熱演した。彼女が自身の痛みを初めて吐露する相手になるほどに頼り甲斐があり、それでいてフランクな、まさにバランスの良い理想の上司像がそのまま投影されていた。英児とは違って口調も穏やかで安心感があり、それでいてどれだけキャリアと年齢を重ねても新しいことに常にワクワクしていたいような無邪気さも垣間見えるキャラクターだった。

　ただ、本作での英児も型破りで枠にはまらないため、ある意味無邪気さがあり、自身の揺るがぬスタイルが確立されている分、相手が誰であろうとその態度を変えることがないところは朝岡とも似ているかもしれない。また、実は情に厚く、面倒見が良い点も彼らの共通点といえるだろう。

　続いて、そんな英児とは一見したところ正反対の役どころを担うのが、優秀で人当たりも良いエース刑事・蓮見光輔役を演じる濱田岳だ。濱田は『カムカムエヴリバディ』（NHK総合／以下『カムカム』）では、初代ヒロイン・安子（上白石萌音）の兄でトラブルメーカーの算太役を好演した。何事もそつなくこなし、目的のために虎視眈々と計画する用意周到さを持つ光輔とは異なり、算太は直感に従って行動するタイプだ。実家の和菓子屋を継がずにダンサーを目指して家出したり、あちこちの借金を踏み倒したり。心を入れ替え安子と実家の和菓子屋の再建に奮闘したかと思いきや、失恋のショックからその開業資金を持ち逃げしてしまったりと、どうしようもない兄なのになぜだか憎めない不思議な魅力がある。

　そんな情けない怠惰な一面を抱えていながらも、周囲もなんだかんだ見放せなくなる“愛嬌”や“かわいげ”、無防備な“放っておけなさ”があるのが算太だった。そんな愛されキャラを演じることが多い濱田が、本作でも物腰の柔らかさはそのままに、時にピリッと緊張感が走るような底知れなさを滲ませる。算太は周囲を“巻き込む”側だったが、光輔は英児に巻き込まれつつ、それをも利用して自身の目的を遂行しようとしている。算太役の時とは異なり、本作では器用に二面性を使い分ける濱田の演技を堪能したい。