イ・ミンホ、パク・ソジュン、キム・スヒョンらカムバック! 2023年期待の韓国ドラマ

2023年期待の韓国ドラマ

『ウ・ヨンウ』のヒットは誰も予測できなかった

ーー2020年は『愛の不時着』『梨泰院クラス』、2021年は『イカゲーム』、2022年は『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(以下、『ウ・ヨンウ』)とヒット作が生まれてきましたが、ずばり2023年はどうなると予想しますか?

Nana:でも『ウ・ヨンウ』がヒットすることを誰も予測できなかったように、いつどの作品に火がつくかわからなくなってきてますよね。スター俳優が出演するとか、期待作と注目されていたわけでもなく、脚本家も有名ではなかったですし。

にこ:当時はソ・イングク主演の『美男堂の事件手帳』の方が注目されていましたもんね。始まってみたら『ウ・ヨンウ』がグンと伸びて。自閉スペクトラム症という重いテーマを扱いながら、クジラのかわいいイラストのポップな感じもあって、シリアスに作ってはいなかった。

Nana:だからもうキャストではないですよね。そして地上波やケーブル、OTTオリジナルなどどこからヒットが生まれるかわからない。

ヨシン:しかも『ウ・ヨンウ』はENAというマイナーチャンネル。今回の大ヒットによって、どこの局でもヒット作を出せる可能性を証明したようなもの。となると、今までより作品を絞ることが難しくなりそう。全部チェックしないといけなくなるかも(笑)。

にこ:私は、Netflixの傾向が変わってきたなと感じます。最初の頃は『愛の不時着』『サイコだけど大丈夫』『椿の花咲く頃』など、どちらかというとロマンス中心だったのが、今は『イカゲーム 』の世界的ヒットから『地獄が呼んでいる』など重めになってきていて。『京城クリーチャー』も1945年の激動の時代が舞台ですし。

ヨシン:先日NHKで放送された『韓国ドラマ 世界的ヒットの秘密 〜密着 企画制作の現場〜』でも感じたのは、制作陣も脚本家も若いということ。現場に女性が多いと、ヒロイン像や現状とのギャップが生まれにくくなりますよね。前は社会問題などわかりやすく主張していたけど、最近はごく自然に描かれている。脚本の質が良い分、流し見してしまうとキャッチできないので、受け取る姿勢も大事だと思います。

Nana:今年はヒット作がたくさん出たけど、OTTの発展もあり、例えば視聴率が30%前後のような数字は出にくくなっていると思います。『SKYキャッスル〜上級階級の妻たち〜』『ペントハウス』『夫婦の世界』などの、国民的メガヒット作はなかった印象です。最後の最後に『財閥家の末息子』が今年最高の興行作となりました。

にこ:現在放送中のソン・ジュンギ主演『財閥家の末息子』が『ウ・ヨンウ』を超える視聴率を叩き出しているのですが、Rakuten viki配信なので日本がガラパゴス化にならないか……。

にこ:『韓国ドラマ 世界的ヒットの秘密』でノ・ヒギョン作家が言っていたのは、要約しますが「昔はドラマが暇つぶしだったけど、今は自己啓発的な社会勉強をする内容になっている」と。ドラマでいろんなことを勉強したり、人間ってこういうものなんだなとカタルシスが起きたり。ドラマの位置付けが変わって、寝転んでソファで観る作品とちゃんと対峙して観たい作品があるなって。

ーー国内ドラマのプロデューサーにインタビューするとき、韓国ドラマを参考にしているという話を聞くようになりました。日本のドラマの作り手も影響を受けているなと思います。

にこ:刺激になりますよね。クリエーターの方々が韓国ドラマについてSNSでつぶやいているのをみることも増えました。作詞家の松本隆先生が『ヴィンチェンツォ』『私の解放日誌』について、歌人の俵万智さんも『愛の不時着』について発信していました。

Nana:視聴者の目が肥えてきて作品性に重きを置いているので、逆にスター俳優は生まれにくくなっているかもしれないですね。「この俳優にハマったからこの作品を観る」という流れを最近はあまり聞かない。ヒョンビンみたいに作品からスターが出るのはなくなっているかな。だから来年のキム・スヒョンに期待したいです。

にこ:やっとロマンスやってくれるので嬉しいです(笑)。若い俳優はヴィランとかサイコパスの役をやりたがるじゃないですか。コメディ要素もありそうなので楽しみですよね。

Nana:あと今年は作品のハマり度がけっこう分かれた気がします。今年の作品で言えば『シスターズ』なんかはそう感じましたね。

にこ:『カーテンコール』も同じ印象を受けました。とにかく視聴できる作品数が増えましたよね。韓国ドラマが好きな人という括りから多様化して、サスペンス、ラブコメなどのジャンルに分かれてきて。今後ますます細分化されそうです。

ヨシン:視聴者が好みの作品を選ぶことができる状況なので、そうなるとやっぱりヒット作がなかなか生まれにくい。

にこ:韓国ドラマの市場はずっと拡大していますね。スタジオドラゴンがハリウッドに進出してアメリカの役者さんで作品をつくる話もあります。韓国の要素とどうすり合わせていくのか、全く別の新しいものになるのか。

Nana:個人的には16話構成の“ザ・韓国ドラマ”が好きなので、なくならないでほしいです。

にこ&ヨシン:(激しくうなずく)

ヨシン:16話構成も20話を超えるのがスタンダードだった頃よりは話数が少なくなった。3〜4話あたりからハマり始めていたのが、今はもうはじめから面白い。何を観ようか迷ったときは、とりあえず1話、2話を観て、ドラマを選んでもいいかもしれませんね。

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