『チェンソーマン』最終回で描かれた“ハッピーエンド” 成長したデンジが身につけた想像力

 毎週変わるED曲も、ラストを飾ったのはEveの「ファイトソング」。早川家の日常(サムライソードとの戦いを労う、お疲れ様会)を描く映像は、多幸感に溢れている。それこそデンジは、パワーがスーパーでカゴに適当に入れた物を見ていないところで整頓しているし、「風呂には入らない」とか「トイレは流さない」とか言っていたパワーもパワーで、ちゃんとお風呂の後にドライヤーで髪を乾かすレベルにまで成長できたことがわかる。この二人に“人間らしさ”を与えたのがアキだ。すっかりお兄ちゃんのような立場の彼は、誰よりも泣き虫だからこそ“共感性”も非常に高い。それはデンジと初めて現場に行った時、彼が義務教育を受けていないと知った時にバカにしなかった様子からすでに描かれていた。そんな彼がまとめる早川家には、こんなふうにずっと平穏で幸せな日々が訪れてほしいと、強く強く、願う……。

『チェンソーマン』第12話ノンクレジットエンディング / CHAINSAW MAN #12 Ending│Eve「ファイトソング」

 「Easy revenge!(気楽に復讐を!)」と書かれた、姫野から最後に渡された約束のタバコ。それを最後にふかし、星のない夜空を見上げた。以前描かれたアキのモーニングルーティーンの描写がここで生かされている。しかし、そこで終わったかのように見せかけて季節は夏になり、“レゼ”という少女の問いかけと小道を進んだ先にある喫茶を映して本編は幕を閉じた。

「デンジ君はさ、田舎のネズミと都会のネズミ、どっちがいい?」

 イソップ寓話を彷彿とさせるこの問いを私たち自身も考えてみて、その答えが出る頃にまた物語の続きが観られますように。

■配信情報
『チェンソーマン』
Prime Videoにて、毎週火曜25:00〜最速配信
各プラットフォームにて、毎週水曜25:00〜見逃し配信
キャスト:戸谷菊之介(デンジ)、井澤詩織(ポチタ)、楠木ともり(マキマ)、坂田将吾(早川アキ)、伊瀬茉莉也(姫野)、高橋花林(東山コベニ)、八代拓(荒井ヒロカズ)、津田健次郎(岸辺)、内田真礼(天使の悪魔)、花江夏樹(サメの魔人)、内田夕夜(暴力の魔人)、後藤沙緒里(蜘蛛の悪魔)、大地葉(沢渡アカネ)、濱野大輝(サムライソード)
原作:藤本タツキ(集英社『少年ジャンプ+』連載)
監督:中山竜
脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:杉山和隆
アクションディレクター:吉原達矢
チーフ演出:中園真登
悪魔デザイン:押山清高
美術監督:竹田悠介
色彩設計:中野尚美
画面設計:宮原洋平
音楽:牛尾憲輔
オープニング・テーマ:米津玄師「KICK BACK」
挿入歌:マキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ」
エンディング・テーマ:
ano「ちゅ、多様性。」
Eve「ファイトソング」
Aimer「Deep down」
Kanaria「大脳的なランデブー」
syudou「インザバックルーム」
女王蜂「バイオレンス」
ずっと真夜中でいいのに。「残機」
TK from 凛として時雨「first death」
TOOBOE「錠剤」
Vaundy「CHAINSAW BLOOD」
PEOPLE 1「DOGLAND」
マキシマム ザ ホルモン「刃渡り2億センチ」
アニメーションプロデューサー:瀬下恵介
制作:MAPPA
©藤本タツキ/集英社・MAPPA
公式サイト:https://chainsawman.dog/
公式Twitter:@CHAINSAWMAN_PR

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