岸井ゆきの、磯村勇斗、笠松将ら“92年生まれ俳優”最強説? 大きな壁をどう超えるか

岸井ゆきの、磯村勇斗、笠松将ら92年俳優

世界を相手にする笠松将

『TOKYO VICE』©︎HBO Max / Eros Hoagland©︎HBO Max / James Lisle

 12月28日より、待ちに待った大注目作『ガンニバル』(ディズニープラス)の配信が始まる笠松将。いままでの笠松のキャリアからすれば、今年は特別に出演作が多いというわけではなかったように思うが、岸井や磯村と同じく彼も俳優としての価値を確実に高めた。広く衝撃を与えたのは言わずもがな、『TOKYO VICE』(HBO Max/WOWOW)だろう。笠松が演じたのは重要人物の一人である若きヤクザ。マイケル・マンらハリウッドのクリエイター陣のもと、物語の展開を左右するポジションを完璧に担っていた。彼はこれまでにもそういった硬派なキャラクターを多く演じてきたため配役自体に驚きはないのだが、それが“世界クラス”の作品で通用すると証明してみせたことに大きな感動がある。『TOKYO VICE』も『ガンニバル』も、作品の展開は全世界。彼は鍛え上げた肉体と精神とで、いま世界を相手にしているのだ。とはいえ、ハードな面ばかりが注目されがちな笠松だが、主演映画『リング・ワンダリング』ではごく普通な青年に扮している。むしろそれは、不思議な体験に巻き込まれていく受動的なキャラクターであり、不思議体験によって物語の後半から能動的なキャラクターに変容していく演技が求められるものだった。そのグラデーションの鮮やかさと滑らかさは、笠松がいかに繊細な表現力を持っている俳優なのかを示している。同作は海外でも高く評価されているため、彼がこちらの方向性で世界を相手にしていく姿にも期待が持てるのだ。次期朝ドラ『らんまん』(NHK総合)ではまた異なる一面を見せてくれるのだろう。

 さて、岸井、磯村、笠松の3名の俳優について述べてきたが、冒頭に記しているように、彼らは“1992年生まれ世代”であり、この世代は「黄金世代」である。この三者からフォーカスを広げてみると、そこには門脇麦や染谷将太、浅香航大、鈴木伸之、重岡大毅、上杉柊平といった演技巧者たちがいるほか、バラエティもこなす本田翼や、コムアイに菅原小春といったマルチなプレイヤーもいる。あまり年齢に囚われたくはないが、どの業界でも言われるのが「30歳」というのは一つの大きな壁であるということ。彼・彼女らがこれから歩む道には何が待っているのだろうか。絶えず輝かしいものだと願いたい。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる