『舞いあがれ!』福原遥の不安を取り除いた高畑淳子の金言 貴司くんの優しさが沁みる

『舞いあがれ!』舞の不安に寄り添う祥子

 めっきり寒くなったこの季節には、大陸から渡り鳥が飛来する。長い距離を飛ぶ渡り鳥は、島を中継地にして翼を休める。『舞いあがれ!』(NHK総合)第12週のタイトルは「翼を休める島」。第59話では、舞(福原遥)が内心の不安を吐露する。

 前話ラストで帽子の下から笑顔をのぞかせたのは貴司(赤楚衛二)だった。休みを利用して祥子(高畑淳子)の家へ来た貴司は、ミカンの収穫と遺跡発掘バイトをしながら各地を回っている。自分の気持ちを表現するのが苦手な朝陽(又野暁仁)のことを知った貴司は、「そのしんどさは僕にもわかる」と理解を示した。

 舞と重なる時期に居場所を求めて五島にやってきた朝陽。空を見上げて「ある」とつぶやいた朝陽に、舞は何が見えるのかと問いかける。朝陽は、昼間の空にも星はあり太陽で見えなくなっていること、人間の目に見える星は8,600個だが銀河系には2,000億個の星があって、宇宙にある銀河は1,000億個にのぼることをとうとうと話し続ける。南天の実を使って朝陽が描いていたのは星座で、朝陽の話を聞いた舞にはそれらが星の連なりに見えた。

 見えるものと見えないもの。空に憧れを抱く舞に、朝陽はもっと広大な宇宙があることを伝えた。ちなみに朝陽が描いていたのはオリオン座で、南の空(南天)を往く冬の代表的な星座だ。太陽が上がると星は見えなくなってしまうが、朝陽という名前は、見えないものを見ようとする想像力と人間の可能性を表しているように感じられる。

 星座のように離れていてもつながっていること。航空学校の同期もリーマンショックに影響を受けていて、電話越しに話す倫子(山崎紘菜)はパイロットの訓練が遅れるかもしれないと話す。倫子の「先が見えないっていうか、これからどうなっちゃうか不安だよね」に返す言葉のない舞は、内心の不安と必死に戦っている。その心境を貴司と祥子は感づいていた。

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