『舞いあがれ!』朝陽役の又野暁仁は朝ドラレジェンド子役 『カムカム』ではキューピッド

『舞いあがれ!』又野暁仁は朝ドラレジェンド

 『舞いあがれ!』(NHK総合)第58話で、舞(福原遥)と祥子(高畑淳子)は東京からやってきた森重親子を迎え入れる。「おなかすいた。お菓子食べる」と言う朝陽(又野暁仁)に舞と祥子はかんころ餅を振る舞うが、朝陽は「要らない」と不機嫌な面持ちのままだ。信吾(鈴木浩介)が「さっきの道が通学路やけんね」と話しかけると、「あ〜、もう! うざい!」とイライラした様子で立ち上がり、耳を塞いでその場を去っていく。

 舞は祥子から森重親子が島へやってきた経緯を聞いた。朝陽は都会の学校で馴染めず、母の美知留(辻本みず希)は環境を変えるために島にやってきたのだという。

 舞は日中、無気力そうに柱に体を預けて空を眺める朝陽の姿を見る。舞は朝陽を気にかけつつも、真横に座ったり話しかけたりはしない。少し離れたところに座り、同じように空を眺める。空を飛ぶ飛行機を見た舞は、一人、離陸の練習を始める。舞と朝陽が近過ぎず、遠過ぎない距離で、少しだけお互いを意識しながらも干渉しないこの場面は印象的に映った。特に、朝陽を演じている又野の演技がとても自然だった。舞が離陸の練習を始めたとき、朝陽は一瞬だけ舞の方に視線を向け、すぐに元の姿勢に戻ってしまうのだが、どことなく舞の暗唱に耳を傾けているように見える。

 翌日、学校を行き渋る朝陽に美知留は困ったような表情を浮かべるが、祥子は学校に行きたくないという朝陽の意志を聞き入れると、美知留に「無理に行かせんでもよかとじゃなかか」と声をかける。

 その日も朝陽の横で自主練習に励んでいた舞は、朝陽が木の実を手に取り、紙の上に並べているのを見る。舞と朝陽の場面が心穏やかに感じられるのは、舞の朝陽への寄り添い方がさりげないからだ。舞は「何してるの?」といった声かけはしないが、木の実がなくなると新しい木の実を手渡す。朝陽から返答がなくても、あたたかな眼差しで彼を見守る。そんな舞に、朝陽は少しずつ心を開く。舞が再び離陸の練習を始めると、朝陽は舞の暗唱をそのまま口ずさみ始めた。突然のことに驚く舞に、朝陽は初めて笑顔を向けた。

 環境を変えるきっかけは違えど、舞と朝陽は似ている。舞は幼い頃の自分を思い出し、「自分がどうしたいんかうまく言われへんかって……」と美知留に打ち明けた。興味を持ったことならすぐに覚えてしまう朝陽が、自分のやりたいことを素直に伝えられるようになるにはまだまだ時間がかかるかもしれない。だが、きっとこの先の物語の中で朝陽に変化が訪れることだろう。

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