赤楚衛二、神尾楓珠、堀田真由 2022年のWOWOWドラマを彩った俳優たち
2022年に放送されたWOWOWのオリジナルドラマをざっと振り返ってみれば、人気シリーズの新シーズンであったり、池井戸潤や松本清張といった人気作家のベストセラーのドラマ化や石ノ森章太郎漫画の実写化、気鋭クリエイターが手掛けるオムニバス作品に、ハリウッドの巨匠マイケル・マンがメガホンを取った日米共同制作の大作ドラマなど、例年以上にバラエティに富んだラインナップが揃っていた印象だ。
そうしたなかで特に目を引いたのが、“若手”から着実に“中堅”へとステップアップしようとする俳優たちのアンサンブルが光る作品の多さである。反町隆史主演の『今どきの若いモンは』に出演した福原遥が、NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』でヒロインを演じるまでに飛躍を遂げたように、ここから一気に跳ね上がるだけの素質を持った大勢の若手俳優たちが2022年のWOWOWドラマを彩った。彼らの今年の他の出演作にも触れながら、2023年にさらなる飛躍が期待できる存在をピックアップしていきたい。
・赤楚衛二/『ヒル』
・栁俊太郎/『ヒル』『ワンナイト・モーニング』
・神尾楓珠/『青野くんに触りたいから死にたい』
・堀田真由/『正体』『オカルトの森へようこそ』『椅子』
・井之脇海/『神木隆之介の撮休』
・萩原みのり/『神木隆之介の撮休』
3月からシーズン1とシーズン2が連続して放送された『ヒル』では、シーズン1の主演を務めた赤楚衛二を筆頭に、吉川愛、栁俊太郎、飯豊まりえ、板垣瑞生、佐久間由衣が顔を揃え、シーズン2で主演を務めるのは、すでに多数の主演作を持ち実績充分の坂口健太郎。まさにお互いを呑み込もうとする劇中の登場人物たちのように、絶妙な化学反応を携えたアンサンブルを展開していく。
そのなかでも一歩抜けた魅力を放っていたのは、やはり四宮勇気役を演じた赤楚である。“チェリまほ”こと『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)でブレイクを果たして以来、この2年でみるみるうちに急成長を遂げた赤楚は、『舞いあがれ!』でのヒロインの幼なじみ役や『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』(TBS系)のように、仕事に追われたり誰かに巻き込まれたりして打ちのめされるような、受動的な役柄がすんなりと馴染む。この『ヒル』でも突如として自分になりすました男によって殺人未遂の罪を着せられる“巻き込まれ型”の主人公に徹する。序盤から見せ続ける焦燥感が、回を追うごとにその表情に染み込んでいくさまは非常にスリルを駆り立ててくれる。
またこの主人公になりすましたヨビを演じた栁俊太郎も、絶妙なチャラさと迫力、そしてどことなく帯びる影を器用に使い分ける底知れない俳優である。『ナンバMG5』(フジテレビ系)でのヤンキーキャラに、『アトムの童』(TBS系)での屈託のない青年、そしてオムニバス作品『ワンナイト・モーニング』の第3話での冴えない会社員。どの作品でもまるで別の顔を持ち合わせ、それでいて栁俊太郎であり続ける。なんと面白い俳優だ。