杉本穂高の「2022年 年間ベストアニメTOP10」 新海誠のさらなる飛躍への期待も込めて

杉本穂高の「2022年アニメTOP10」

 リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2022年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに分け、アニメの場合は、2022年に日本で劇場公開・放送・配信されたアニメーションから、執筆者が独自の観点で10作品をセレクトする。第1回の選者は、神奈川県厚木市のミニシアター「アミューあつぎ映画.comシネマ」の元支配人で、映画ライターの杉本穂高。(編集部)

1.『すずめの戸締まり』
2.『THE FIRST SLAM DUNK』
3.『FLEE フリー』
4.『犬王』
5.『アンネ・フランクと旅する日記』
6.『チェンソーマン』
7.『アポロ10号 1/2: 宇宙時代のアドベンチャー』
8.『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』
9.『シチリアを征服したクマ王国の物語』
10.『ONE PIECE FILM RED』

 映画産業全体の動きで言うと、本格的に映画館に客足が戻り始めた1年だったと言える。同時に、コロナ禍で伸長したサブスクリプション配信モデルにブレーキがかかった年でもある。Netflixの会員減少から株価下落、そこからの広告付きモデルの急すぎる展開が象徴的だ。

 配信市場の成長は今後ゆるやかなものになるだろう。配信会社は、今までのように湯水のごとくコンテンツにお金を注ぐ余裕はなくなる可能性がある。日本のアニメも配信市場の成長の恩恵を受けたが、今後も同じようにいくかはわからない。おそらく、収益性の向上のためにコンテンツの調達費と制作費を絞る動きが出てくるだろう。

 そんな中、日本アニメは幸いにも映画館で強い結果を残せている。そして、その強さが海外市場にも拡がっていることが実感できる一年だった。来年は、この流れをさらに拡げていくべきだろう。欲を言うと10億円規模の中級ヒットがさらに増えれば、企画の自由度が増すと思う。

 国内アニメ産業においては、少年ジャンプの存在感がとにかく大きい1年だった。マンガ・アニメの枠を超えて日本のコンテンツ産業の中心に位置していると言っていいだろう。新規タイトルだけでなく、旧タイトルまで息を吹き返している。今後も旧タイトルの掘り起こしとともに注目の新規タイトルのアニメ化も続々予定されているので、ジャンプの天下はしばらく続くだろう。

 そんな中、新海誠監督が大テーマに挑んだ『すずめの戸締まり』は、作家の力を再確認させてくれた。1位にしたのは、これからのさらなる飛躍への期待も込めている。

 以下、上位5作品の選考理由を簡単に記していく。

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