尾上松也、後鳥羽上皇は見事なはまり役に 『鎌倉殿の13人』ラスボスとしてみせた人間味

尾上松也、『鎌倉殿』のラスボス

 本作の初登場シーンは、源頼朝急死の知らせを受けた後鳥羽上皇が鋭い洞察力で、その死の原因を推理する場面だった。平安時代以降の天皇や上皇は、後鳥羽上皇のように武芸に力を入れることもなかったし、大切な情報は与えられるもので、自分の勘を働かせて推理する必要もなかった雲の上の存在だったはず。高雅でありながら、人間味あふれ、時にはトキューサと本気で蹴鞠に夢中になる後鳥羽上皇は、尾上だからこそ出せる味のある人物となった。

 才能にあふれ、すべてを手に入れたかのような存在でありながら、坂東武者をどうにか自分の思い通りにできないものか、自分の力を鎌倉の武士たちは分かっていないのではないか、といったジレンマを抱えた後鳥羽上皇の複雑な心境。承久の乱に至るまでの過程を丁寧に描き、尾上が完璧な後鳥羽上皇を演じてくれたので、こうして物語の世界を迷うことなく堪能できた。

 史実に残っているだけではない、承久の乱とその後の世界。最後の最後まで、しっかりと見届けるしかない。

脚本家・三谷幸喜の真髄がここに 『鎌倉殿の13人』特集

作品のタイトル、および主演・小栗旬が発表されたのは2020年の1月8日。歴代の大河ドラマの中でも人気作である『新選組!』『真田丸…

■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK

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