『鎌倉殿の13人』小池栄子×宮澤エマ、抱き合う姉妹の姿に見えた希望 時房の見事な活躍も
もとより、頼朝(大泉洋)の威光を示すことができるのは頼朝の妻・政子だ。鎌倉のために肝を据えた政子の決断に義時は「私への戒めですか」と食ってかかるが、政子が動じることはもうない。義時の方へと一歩踏み出すと「全てが自分を軸に回ってると思うのはおよしなさい」と返した。
これまでも政子が今後尼将軍として御家人たちを鼓舞することになる伏線は描かれていたし、三寅を膝に乗せ、御家人たちの前に現れた政子の堂々たる姿は感慨深かった。だがそれ以上に印象に残るのが、政子が家族を守ることを一番に望み続けていたことだ。義時でも刃向かえない力を手にした政子が最初にしたことは、実衣を助け出すことだった。義時であれば「身内に甘い」と一蹴したことだろう。それでも政子は実衣を抱きしめ、「みんな、いなくなっちゃった」と悲しみを共有する。2人が唱える大姫(南沙良)が教えてくれた呪文は相変わらず間違っているが、涙を浮かべながらも微笑み合い、優しい光の中で抱き合う姉妹に、安寧の世への希望が見えた気がした。
なお、第46回では時房(瀬戸康史)の活躍、強運もまた魅力的だった。時房は度々、緊迫した空気の中で少しずれた発言をするのだが、後鳥羽上皇との根比べにこだわる義時に「意地の張り合いもここまでにしておきませんか」といつになく真剣な表情で問い詰めた。「蹴鞠なら自信があるんだがなあ」という発言や後鳥羽上皇との蹴鞠対決は、時房本人が本気なこともあってコミカルに映るのだが、後鳥羽上皇から本音を引き出すと、頭を下げながらも口元に笑みを浮かべる。誠実さと肩の力の抜けた雰囲気を己の武器だと自覚しているのではないかと勘ぐってしまうほどに、見事な立ち回りだった。
■放送情報
『鎌倉殿の13人』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送
BSプレミアム、BS4Kにて、毎週日曜18:00~放送
主演:小栗旬
脚本:三谷幸喜
制作統括:清水拓哉、尾崎裕和
演出:吉田照幸、末永創、保坂慶太、安藤大佑
プロデューサー:長谷知記、大越大士、吉岡和彦、川口俊介
写真提供=NHK