多くの人を惹きつけてやまないSnow Man 目黒蓮 『silent』佐倉想に魅了されるワケ

『silent』の目黒蓮に魅了されるワケ

 『silent』(フジテレビ系)で佐倉想を演じる目黒蓮から目が離せない。恋愛ドラマかと思いきや、普通に生活していただけなのに突然、障がいを背負うことになってしまった者やその家族の苦しみ、障がいを背負ってもなお、“変わらない”友情など、濃密な人間ドラマが繊細に描かれている本作は、たとえば、ふたりが別れを決断するまでを描いた第5話のように、大半が紬(川口春奈)と湊斗(鈴鹿央士)のシーンになることもある。そんな中でも、想の登場を今か今かと待ちわびている自分がいる。想は家族の前以外では発話をほとんどしない。ということは、声のトーンや話し方を変えるという演技ができないということだ。その大きな制約がある中でも、多くの人を惹きつけてやまない目黒の演技の魅力について迫ってみたい。

少しあざとい仕草

 想は高校卒業後から次第に聴力の低下に悩まされ、今ではほとんど聴こえない状態だ。補聴器のように、外から見た時に難聴者であることがわかるようなものも身に付けていないため、紬や湊斗のような“聴こえていた時の想”を知っている者といるときは、気まずさや知らず知らずのうちに話が進んでいくこともあり、終始困った顔をしている。第4話で再会したサッカー部に囲まれる想が、周りよりも頭ひとつ出ていることからもわかるように、目黒は身長が185cmと高い。そんな彼が時折、困ったように笑いながら小首をかしげる。紬たちの言葉をなんとか理解しようとする行動だということはわかっているのだが、少しあざとさも感じられるその仕草とその時の表情のかわいらしさにキュンとしてしまう。

多くを語る目

 「目は口ほどに物を言う」という言葉があるが、発話をほとんどしない想は、本当に目が口ほどに物を言っている。第2話で手話を少し覚えた紬は、それを想に“発表”する。「私の名前は、青羽紬、です」、「誕生日は、4月28日、です」とたどたどしい手話を披露していく紬に対して、想はただ「知ってる」と返す。言葉にすると一言で、ぶっきらぼうな印象さえ受けるが、懸命に伝えようとする紬を見るその目は、微笑んだ時のように少し弧を描いていて、驚くほど優しい。自分に再会したことで手話を覚えようとしてくれている紬の姿が嬉しいのだ。もしかして、想にはまだ紬に対する想いが残っているんじゃないか……? そう思った矢先、想は自分の「好きな人」として目の前の紬を指差す。その後、ちょっと照れた紬を含めて、想と紬が愛おしく感じられ、ふたりにはどんな形であれ、幸せになってもらいたいと思うのだった。

かつてより少し低い、不意の声

 ドラマでは、想、紬、湊斗の高校時代が描かれることもある。当時はまだ想の聴力が低下しておらず、話せていたのだが、想が話している声を聞くことが少ない。たとえば、高校時代、想が湊斗をからかい、笑いながらおそらく何か話しているシーンがあるのだが、その時に想の声を聞くことはできない。思い出のワンシーンのようになっている。だからこそ、想が発する不意の声は貴重で、胸に迫るものがある。親友の前で「湊斗」と呼びかけた想の声は、高校時代のそれよりも幾分か低くなっており、あまり声を出さなくなってしまった時間の長さを感じさせる。想はまだその声で紬と話したことはない。この先、想が「紬」と発し、紬が「佐倉くん」ではなく「想」と返す瞬間があることを想像して、なぜか今から胸を高鳴らせてしまう。想の直接の言葉、声にはそんな力がある。

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