『silent』鈴鹿央士が恋の終わりをリアルに体現 “今”の関係に目を向けた紬、湊斗、想の3人

『silent』鈴鹿央士が恋の終わりを体現

 大切な人とのはじまりの瞬間、そして大切な人との終わりの瞬間が描かれた『silent』(フジテレビ系)の第5話。紬(川口春奈)と湊斗(鈴鹿央士)が付き合いだした日のこと、そしてそれぞれの静かな決断が繊細に映し出された。想(目黒蓮)との再会は3人の運命に大きな変化をもたらすこととなる。

 紬に別れを伝えた湊斗。紬はなかなか納得がいかない様子だが、湊斗はもう心を決めたように距離を置く。後日、紬が湊斗の家に荷物を取りに行ったときも、湊斗はこれまでとは違ったそっけない態度を見せた。一方、想は自分のせいで紬と湊斗が別れてしまったのではないかと気にかける。紬と顔を見て話したいとバイト先を訪れるが、紬は想の顔を見て話せる気分ではなかった。想は、翌日いつものカフェで待っていると伝えて立ち去るのであった。その晩、湊斗は紬に電話をかけた……。

 人が恋に落ち、想いを育むことの輝きを丁寧に紡ぎ上げる本作は、紬と湊斗が“終わり”に向かっていく様子も繊細に表現する。決して気持ちが冷めたわけではない2人。しかし一緒にいることが苦しくなり、耐えきれなくなっていく湊斗の様子が恋の終わりのリアルを突きつける。好きだからと言って、必ずしも関係が続くとは限らないのが恋なのだ。

 2人がはじめて互いのことを「紬」「湊斗」と呼び合った日の記憶と、紬が湊斗の家に忘れていった“ホワホワ”のヘアピン。だが今はすでに名前で呼び合うことをやめ、思い出のヘアピンは始末すると決めていた。これらの現実は明確に2人の始まりと終わりを表しており、湊斗と紬の心の内を言葉より雄弁に物語っていた。紬も湊斗も、心のどこかに残っていた未練を断ち切り、改めて前に進むことを決意したように感じられたのは、湊斗の家のゴミ箱に捨てられたヘアピンと、ポニーテールにするか迷いながら想に会いにいく紬の姿があったからだろう。

 これまでは想と紬の再会によって紬と湊斗の関係の変化をじっくり描いてきた『silent』だが、ここからは紬と想の関係が前に進む様子も描かれるのだろう。想は自身の存在が紬と湊斗の関係を壊してしまったのではないかということに苛まれながらも、たとえ声で伝えられなくても8年前のように紬と手話で会話できることや、湊斗とフットサルをやれたことを喜んでいた。そして上手く想いを伝えられなかった空白の8年をこれから言葉にしたいと、紬に伝えたのだ。いつもならスマホを通してコミュニケーションをとるのだが、この日は自筆の文字で気持ちを伝える想。それは改めて紬と向き合っていく決意を固めたことの表れでもあるのだろう。

 それぞれの存在に疑心暗鬼になりながら不安を隠せずにいた3人だが、とうとう状況は前へと進み出す。不安を抱えていた3人はそれぞれの決断と考えを尊重し、改めて「今」の関係に目を向けたのだと感じられた。高校生の頃の3人とは違う、今の3人の気持ちに向き合おうとしているのだろう。想を演じる目黒の決意の瞳、そして覚悟を感じる手元の芝居からも想いの強さが感じられた。いよいよ奈々(夏帆)も物語に大きく絡んできそうな様子が予告で明らかになっている。傷つきながらもゆっくり前に進む紬たちの関係をしっかり見届けたい。

■放送情報
木曜劇場『silent』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:川口春奈、目黒蓮(Snow Man)、鈴鹿央士、桜田ひより、板垣李光人、夏帆、風間俊介、篠原涼子ほか
脚本:生方美久
演出:風間太樹
プロデュース:村瀬健
音楽:得田真裕
制作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/silent/
公式Twitter:https://twitter.com/silent_fujitv
公式Instagram:https://www.instagram.com/silent_fujitv/

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