世界が熱狂する『魔道祖師』のアニメ完結編が日本上陸 長い長い物語のすべてが明かされる

『魔道祖師』心を揺さぶられるアニメ完結編

 世界が熱狂するファンタジー『魔道祖師』のアニメーションがWOWOWに帰ってきた。シリーズ最終章となる完結編では、魏無羨と藍忘機が続ける探求の旅が終わりを告げ、すべての謎が解き明かされる。

 絢爛にして幽玄。俊敏にして重厚。『魔道祖師』のアニメーションに感じるのは、そんな数多の要素を絵としてしっかりと表現しながら、妖魔を退け悪霊を払うために戦う仙師たちのドラマを丹念に織り上げてみせる作品としての分厚さだ。

 墨香銅臭(モーシャントンシウ)が中国のオンライン小説サイトで発表した小説が原作で、単行本だけでなくラジオドラマや漫画や実写ドラマなど様々なメディアへと展開。アニメーションも中国で作られたものが3期にわたって配信され、日本ではWOWOWが第1期の前塵編、第2期の羨雲編を字幕版と日本語吹替版で放送した。

 戦闘シーンのアクションから舞台となっている街や森の景色まで、すべてがハイクオリティな映像によって描かれる『魔道祖師』のアニメーション。キャラクターたちの表現も魅力的で、強くて美しく猛々しくて繊細なビジュアルに目を奪われてしまう。主人公の魏無羨(ウェイ・ウーシエン)が笛を吹いて屍を操り、敵を屠っていく冒頭のシーンなど恐ろしさもありつつカッコ良さに溢れていて、いったい何者だといった興味をかき立てる。

 もっとも、登場した魏無羨がそのままヒーローとして大暴れする物語ではないところが、この『魔道祖師』という作品の分厚さの表れだ。霊力を駆使して妖魔や邪鬼を倒す仙師たちの集団が5つあった中で、暴虐を極めた岐山温氏を滅ぼす戦いで大活躍した魏無羨だったが、鬼道を操る邪悪な存在として13年前、残っていた4つの仙門によって討伐されてしまった。

 ただしそのまま退場はせず、莫玄羽(モー・シュエンユー)という男が命と引き替えに使った術で復活し、彼の体を借りて再び世の中に姿を現す。さぞや復讐心に燃えて破壊の限りを尽くそうとするのかと思いきや、痴れ者と呼ばれ、道化のように扱われていた莫玄羽の存在に紛れるようにして復活を隠す。

 なぜなのか。もしかしたら魏無羨は、伝えられているような恐ろしい存在ではないのか。りんごちゃんと名付けたロバに乗ってこそこそと逃げ回る姿のコミカルさもあって、その本性への様々な想像が浮かんでくる。かつての知己で、自分を討伐した姑蘇藍氏という仙門に所属する藍忘機(ラン・ワンジー)と再会しても激突はせず、それどころか魏無羨が蘇った夜に、莫家を襲った「鬼腕」と呼ばれる謎の左腕の正体を探す旅に出る。

 人に取り憑いて人々を襲う悪しき存在である鬼腕だが、魏無羨をもってしてもその持ち主が誰なのか分からない。戦っても倒せない鬼腕の謎を追い、魏無羨と藍忘機はその腕が示す方角へと向かう旅の途中で起こる出来事が、『魔道祖師』という物語の中心的なストーリーとなっている。

 旅の中、第1期の前塵編では「射日の征戦」と呼ばれる仙門がぶつかりあった過去の戦いと、そこでの魏無羨の活躍ぶり、そして邪悪な存在として討たれるまでの物語が描かれる。そして第2期の羨雲編では、魏無羨が姉と慕った女性の運命が振り返られ、彼が犬嫌いになった理由も明かされて、物語世界が広がりと奥行きを増していく。

 そんな羨雲編のラストで鬼腕が示した先へと向かった魏無羨と藍忘機を待ち受ける、最後の試練が描かれるのが今回スタートの完結編。物語で最大の謎に迫る内容は、第1期や第2期に劣らずエキサイティングでファンタジックなものとなりそうだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる