まさか泣くことになるとは思いもよらず ジャンル横断の韓国映画『君だけが知らない』

ジャンル横断の韓国映画『君だけが知らない』

 これ以上書いていると結末に触れそうなので、物語に触れるのはここまでにしますが、ある種、荒唐無稽とも言える物語が成立しているのは、役者陣の好演に細かい美術設定、そして監督の演出力ゆえだと思います。主人公スジンが住んでいるマンションの物語的な活かし方も本当に秀逸です。

 ソ・ユミン監督は、これが長編デビュー作というから驚き。『八月のクリスマス』『四月の雪』などで知られるホ・ジノ監督の助監督を務めていたキャリアがあるとはいえ、デビュー作でこれほどのクオリティが生み出せるところに、韓国映画界の豊かさを改めて感じました。

 怖くて、切なくて、最後は泣ける。文字にしていくとかなりチープな表現になってしまうのですが、ジャンルを横断していく本作は予想以上に期待値を超える一作になると思います。『silent』視聴者の方々にもオススメです。

■公開情報
『君だけが知らない』
シネマート新宿、池袋シネマ・ロサ、UPLINK吉祥寺、kino cinéma立川髙島屋S.C.館ほか全国公開中
出演:ソ・イェジ、キム・ガンウ、パク・サンウク、ソンヒョク
監督・脚本:ソ・ユミン
配給:シンカ
2021年/韓国/ 韓国語/100分/カラー/スコープ/5.1ch/英題:Recalled/字幕翻訳:石井絹香
©︎2021 CJ ENM. All Rights Reserved.
公式サイト:https://synca.jp/kimishira/
公式Twitter:@kimishira_movie

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