まさか泣くことになるとは思いもよらず ジャンル横断の韓国映画『君だけが知らない』

ジャンル横断の韓国映画『君だけが知らない』

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は「野球中継の延長やめろ」の声が心苦しいプロ野球ファンの石井が『君だけが知らない』をプッシュします。

『君だけが知らない』

 白熱の試合が続いているプロ野球日本シリーズ。横浜DeNAベイスターズファンの自分としては悔しい限りですが、ヤクルト、オリックスともにリーグ1位にふさわしい名勝負が繰り広げられています。が、そこにつきまとうのが野球の「中継延長」問題。昨日も今期大注目のドラマ『silent』(フジテレビ系)の放送が90分後となったこともあり、各所から嘆きの声があがりました。

 野球ファンとしては心苦しい限りなのですが、この延長のおかげで(?)自分はたまたま『silent』第4話を最初から最後までリアルタイムで観ることに。第1話はぼんやりながら観ていた程度、第2話、第3話は観ていなかったにもかかわらず、第4話のとあるシーンでボロボロ涙してしまったのです。急所に刺さったのは、耳が聞こえなくなった想(目黒蓮)が、かつてのサッカー部の仲間たちと再会し、ハイタッチをするシーン。高校生の頃と自身を取り巻く状況は大きく変わってしまったとしても、“あの頃”に一瞬で戻ったことがありありと伝わってきて、同じ時間をともに過ごした仲間、同じ思いを共有していた人間がいることはなんと尊いことなのだろうと思ったのです。『silent』は演出も非常に丁寧で、今後も目が離せません!

 と、長めの前置きになりましたが、今回紹介したい韓国映画『君だけが知らない』も、“あの頃”と“同じ思い”がキーワードとなる作品のため、無理やり『silent』について触れてみました。ポスタービジュアルや予告編からは不穏な空気が漂い(実際に不穏なシーンは多々あるのですが……)、ジャンルも“サスペンス”に分類されているだけに、外側の情報だ見ると『silent』との共通点があるとは思えないかもしれません。しかし、最後の30分は『silent』に涙している方の多くが思わず“泣ける”瞬間が本作には詰まっています。

 かなりのネタバレ厳禁映画であるので、あらすじを紹介するだけでも難しいのが本作のやっかいなところ。チラシなどにも書かれている情報を少し整理すると、事故で記憶を失ってしまった主人公スジン(ソ・イェジ)が、優しい夫(キム・ガンウ)との日々の中でさまざまな違和感に気づいていき、いつしか“幻覚”も見えてきて……というのが未見の方に向けて言えるギリギリの情報です。優しい夫の本当の姿は? 彼女の見る幻覚は? そもそも彼女は何者なのか? など、“サスペンス”として本作を楽しんでいると、冒頭に触れた『silent』的要素が後半にやってくるのです……。

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