映画ファン垂涎のラインナップ 世界の映画祭を俯瞰できる釜山国際映画祭

世界の映画祭を俯瞰できる釜山国際映画祭

世界の映画祭受賞作・話題作を総取り

『ベイビー・ブローカー』トークイベント ©Busan International Film Festival
『ベイビー・ブローカー』トークイベントの様子 ©Busan International Film Festival
(左から)ソン・ガンホ、是枝裕和 ©Busan International Film Festival
イ・ジウン ©Busan International Film Festival
イ・ジウン ©Busan International Film Festival
イ・ジュヨン ©Busan International Film Festival
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『ベイビー・ブローカー』トークイベント ©Busan International Film Festival
『ベイビー・ブローカー』トークイベントの様子 ©Busan International Film Festival
(左から)ソン・ガンホ、是枝裕和 ©Busan International Film Festival
イ・ジウン ©Busan International Film Festival
イ・ジウン ©Busan International Film Festival
イ・ジュヨン ©Busan International Film Festival
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 韓国映画の充実ぶりは当然として、特筆すべきはアイコンズ部門やワールドシネマ部門のセレクション。この1年、世界中の映画祭の受賞作や話題を集めた作品を総取りしたような映画ファン垂涎のラインナップとなっている。カンヌ国際映画祭からは、是枝裕和監督の『ベイビー・ブローカー』とパク・チャヌク監督の『Decision to Leave(英題)』はもちろん、パルムドール受賞作の『Triangle of Sadness(原題)』(ルーベン・オストルンド監督)、『Armageddon Time(原題)』(ジェームズ・グレイ監督)、『Brother and Sister(原題)』(アルノー・デプレシャン監督)、『Crimes of the Future(原題)』(デヴィッド・クローネンバーグ監督)、『EO(原題)』(イエジー・スコリモフスキ監督)、『Holy Spider(原題)』(アリ・アッバシ監督)、『Close(原題)』(ルーカス・ドン監督)など。ヴェネチア国際映画祭からは 『Bones and All(原題)』(ルカ・グァダニーノ監督)、『No Bears(原題)』(ジャファール・パナヒ監督)、『Saint Omer(原題)』(アリス・ディオップ監督)など、ベルリン国際映画祭からは『Peter Von Kant(原題)』(フランソワ・オゾン監督)、『The Novelist’s Film(原題)』(ホン・サンス監督)など、サンダンス映画祭からはドキュメンタリー作品『Fire of Love(原題)』(サラ・ドーサ監督)が並ぶ。映画祭会期が近いトロント国際映画祭やNY国際映画祭からの北米作品は少ないが、今年のアメリカ映画界で大きな話題となった『Everything Everywhere All At Once(原題)』(ダニエル・クワン監督&ダニエル・シャイナート監督)も上映されていた。各映画祭で話題をさらった作品は釜山国際映画祭閉幕の10日後に開幕する東京国際映画祭でも一部上映されるが、上記の作品は邦題がついていないことからもわかるように、現時点で日本公開未発表の作品がほとんどである。インターネットの発達で海外の情報も同時に伝わる今、こういった世界の映画祭を俯瞰したショーケース上映こそが映画ファンの求めるラインナップではないだろうか。

『Triangle of Sadness(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『Armageddon Time(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『Crimes of the Future(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『EO(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『Holy Spider(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『Close(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『Bones and All(原題)』©2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved
『The Novelist’s Film(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『Fire of Love(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『Everything Everywhere All At Once(原題)』©Allyson Riggs/A24
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『Triangle of Sadness(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『Armageddon Time(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『Crimes of the Future(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『EO(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『Holy Spider(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『Close(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『Bones and All(原題)』©2022 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved
『The Novelist’s Film(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『Fire of Love(原題)』Courtesy of Busan International Film Festival
『Everything Everywhere All At Once(原題)』©Allyson Riggs/A24
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 パンデミック以降は海外渡航も厳しくなり、さらに円安が進むと気安くヨーロッパやアメリカの映画祭を回ることも難しくなる。そんな間にも世界から次々と新しい作品が生み出され、新しい映画作家が飛び立っている。英語字幕のみだが、お隣の釜山に足を伸ばせば、この1年に世界の映画祭でプレミア上映され、各国映画祭を旅し、世界中の観客に新しい視点を提供してきた映画たちを鑑賞することができる。若い世代がこれだけの選りすぐりの映画を毎年鑑賞し、映画作家や主演俳優たちと直接映画談話を重ねてきていれば、韓国の観客の映画を観る目が肥えているのは自明である。おりしも現在、東京でも日本最大の映画祭が開催中。コンペティション部門で新しい才能を発掘し育てることは映画祭の大きな目的だが、未知の映画を比較するのはある程度の視座が定まらないと難しい。世界でどんな映画が生まれ、どう評価されているかを包括的に観る視点は、のちのち大きな財産となる。映画祭には、映画ファンを育て増やす役割も求められているのではないだろうか。

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