『初恋の悪魔』物語を突き動かす“初恋”の役割　真相への大きなカギを握る菅生新樹の存在

　5年前の事件と3年前のリサ（満島ひかり）が逮捕された事件、そして前回起きた“第3の事件”で犯人逮捕の決め手となる凶器を見つけてきた雪松（伊藤英明）を“クロ”だと考え、独自に捜査を開始する鹿浜（林遣都）と森園（安田顕）と摘木（松岡茉優）。一方で小鳥（柄本佑）に付き添われながら警察署から荷物を持ち帰った馬淵（仲野太賀）のところに、両親が訪ねてくる。9月10日に放送された『初恋の悪魔』（日本テレビ系）は第8話。終盤に差し掛かり、真相に近付くための大きなヒントがとうとう見えてきたのではないだろうか。

　馬淵の両親の登場によって、ついに開いた朝陽（毎熊克哉）のスマートフォン。ロックを解く番号は7580（七転び八起き）。メールボックスはスパムメールばかりで、写真フォルダは空と蕎麦の写真ばかり。発信履歴にある番号に順番に掛けていった馬淵たちは、その先で朝陽の刑事としての人となりを知ることとなる。そして頻繁に電話を掛けていた“みぞれさん”なる人物とコンタクトを取る馬淵。それは県警時代の朝陽の同僚だった本城（神尾佑）であり、彼から聞かされたのは「朝陽が雪松に殺された」という言葉だった。

　本城は生前の朝陽から、逃走中の容疑者（＝リサのことである）を撃てと雪松に命じられたことを相談されていた。しかし雪松を尊敬しているという朝陽は、なにか理由があるのだろうと考え、わざと的を外して銃を発射する（それは結局、摘木に当たったわけだが）。そして捜査の過程でリサの部屋から凶器が見つかり、その出どころを探っていた朝陽。殉職する直前、雪松のことを「初恋の人のようなもの」「刑事の生き方を教えてくれた人」だと本城に語るのである。

　本作のタイトルにもなっている“初恋の悪魔”が意味するものは、いまのところまだはっきりとは見えていない。それでも常にこのドラマは“初恋”（のようなもの）に動かされてきた。メイン4人が関係を築くきっかけになったものは小鳥の渚（佐久間由衣）への淡い恋心であり、そこで見出された結論はさながら初恋のラブレターのように名前を書かない手紙として伝えられる。鹿浜が摘木に抱く、殺意ではない感情もまた“初恋”のようなものであり、それを単純な恋愛感情と結びつけずに自己や他者との関係を顧みるものとして扱ってきたのである。そこにきての今回の朝陽の言葉だ。“初恋の人”が“悪魔”であると読み取れるこのタイトルから考えるに、やはり雪松を示しているのだろうか。

　明確に物語のベクトルが雪松＝黒幕という仮説のなかで大きく動いた終盤。鹿浜はリサに面会に行き、馬淵は小鳥に「僕が殺されるかどうか見張っていてください」とお願いして、一緒に雪松の家へ向かい、出てきた息子の弓弦（菅生新樹）の後を追う。またしても橋の上で誰かに電話を掛けている雪松と、『初恋の悪魔』物語を突き動かす“初恋”の役割出がけに意味深に「ありがとう」と雪松に告げた弓弦。雪松の身近な人物の存在が、真相へとつながる大きなカギとなるわけだ。参考：<a href="記事URL">記事タイトル</a>

■放送情報
『初恋の悪魔』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00～22:54放送
出演：林遣都、仲野太賀、松岡茉優、柄本佑、佐久間由衣、味方良介、安田顕、田中裕子、伊藤英明、毎熊克哉
脚本：坂元裕二
演出：水田伸生ほか
プロデューサー：次屋尚ほか
チーフプロデューサー：三上絵里子
制作協力：ザ・ワークス
製作著作：日本テレビ
©︎日本テレビ
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