『初恋の悪魔』摘木との思い出に打ちひしがれる馬淵 事件解決の鍵を握る3つのヒント
突然部屋からいなくなった摘木(松岡茉優)を鹿浜(林遣都)の家で見つけた馬淵(仲野太賀)。しかし摘木は別人格が表出したままで、馬淵を警戒している模様。事態が飲み込めていない小鳥(柄本佑)は、「裏切り」だと鹿浜に詰め寄る。9月3日に放送された『初恋の悪魔』(日本テレビ系)は第7話。まだ第7話なのかと思えてしまうほど前半とは完全に別のドラマへと様変わりしているわけだが、今回も膨大な情報が積み重ねられていく段階にとどまっており、その全体像は掴みようがない。
鹿浜の家からそう遠くない河川敷で、大学生の遺体が発見される。その遺体は無数の刺し傷があり、靴を履いていない。5年前に起きた中学生殺害事件と、リサ(満島ひかり)が犯人として逮捕された3年前の事件と類似していることから、森園(安田顕)はこれが“第3の事件”であると考える。そんななか、被害者の恋人だった桐生菜々美(あかせあかり)が容疑者として浮上。事件当日はひとりカラオケをしていたと供述する彼女だったが、店員や店で偶然会った知人は揃って彼女を見ていないと証言するのである。
今回のエピソードでは久しぶりに自宅捜査会議が開かれ、“マーヤーのヴェール”を剥ぎ取るため、菜々美がいたという事件当日のカラオケボックスへと4人は赴く。この4人とカラオケボックスの組み合わせは、第5話の中盤で家の地下室から出ることができた鹿浜を連れて友情を確かめ合いながら「CHE.R.RY」を熱唱していたシーンを思い起こさせる。ドラマ全体の雰囲気そのものである彼ら4人の関係はすっかり変わってしまっており、「天城越え」を歌う菜々美を近くで見ている彼らの立ち位置は、その時と左右対称になっているのも興味深い。
しかしながら、今回の自宅捜査会議はあくまでも被疑者である菜々美の供述を裏付ける事実(=彼女がカラオケボックスで会ったという5人の男子大学生が女子高校生と飲酒をしており、店員もそれを黙認していた)にたどり着いただけにすぎない。それはすなわち、森園の見立て通りこれが“第3の事件”であるという可能性が高まっただけであり、事件の解決には至ってはいないのだ。案の定、今回も不審な動きを見せる雪松(伊藤英明)。森園とのやりとりで描かれる、雪松が3年前の事件にも関与していたことと、終盤で泣きながら“響子”という人物に電話をしていた姿。3つの事件の被害者がいずれも若い男性である点も、何かのヒントとなることだろう。
さて、大きなミステリーへとつながりそうな自宅捜査会議は、摘木(別人格)が見せた普段の摘木のような仕草に馬淵が感情を爆発させることをきっかけに4人の物語へと引き戻される。それよりも前のシーンで、自転車に乗れることを例に挙げて「思い出の数が多い方が本物」であると語った別人格の摘木は、自分が“偽物”であると、鹿浜と思い出を作ることを拒絶する。一方で馬淵は小洗(田中裕子)の診療所で見つかった摘木からの手紙を読み、摘木との思い出に打ちひしがれる。泣き崩れた馬淵に寄り添う小洗も、語らずとも摘木との思い出を噛み締めていることがわかるわけで、近くにいても遠すぎる相手を“待つ者”のドラマが、この物語を単なるミステリーではないものへと導いてくれる。
■放送情報
『初恋の悪魔』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00~22:54放送
出演:林遣都、仲野太賀、松岡茉優、柄本佑、佐久間由衣、味方良介、安田顕、田中裕子、伊藤英明、毎熊克哉
脚本:坂元裕二
演出:水田伸生ほか
プロデューサー:次屋尚ほか
チーフプロデューサー:三上絵里子
制作協力:ザ・ワークス
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
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