ソン・ソック、ク・ギョファン、ヨン・ウジン 今最もアツい韓国俳優3人に迫る

ソン・ソックら今最もアツい韓国俳優3選

 これまで何気なく観ていたドラマや映画の脇役たちが、2022年、思いがけない作品で主演を務めたり、主役級の大仕事を成し遂げたりと躍進を見せている。ドラマ『私の解放日誌』や韓国で大ヒット中の映画『犯罪都市2(原題)』のソン・ソックもその1人。さらに、『D.P. ー脱走兵追跡官ー』(以下、『D.P.』)で彼と共演しているク・ギョファン、『39歳』で注目を集めたヨン・ウジンは、それぞれ2作の出演映画が相次いで日本公開される。今、気になるこの3人の韓国俳優に迫った。

“ク氏”を演じたソン・ソック、『恋愛の抜けたロマンス』で新たな魅力を発揮

 『私の解放日誌』の寡黙で武骨、謎めいた“ク氏”でシンドローム級の人気を博しているソン・ソック。マ・ドンソクと対峙する強烈な敵役カン・ヘサン役を演じた『犯罪都市2(原題)』は、公開40日にして観客動員1200万人を突破するコロナ禍以降最大のヒット作となっており(※)、間違いなく今、韓国で最も旬な俳優だ。

 1983年生まれ。中学時代からアメリカに留学し、兵役後、ドキュメンタリー監督を志してシカゴ芸術館附属美術大学で学んでいる。2000年代後半からカナダ、そして韓国に戻って舞台に出演し、韓仏合作『Black Stone(英題)』(2015年)でスクリーンへ。2017年、『マトリックス』シリーズのウォシャウスキー姉妹によるNetflixシリーズ『Sense8 センス8』シーズン2に、ペ・ドゥナ演じる地下格闘家パク・サンを追うムン刑事として登場する。

 本編では流暢な英語セリフを披露、ペ・ドゥナと団地の屋上や墓地で激闘を繰り広げ、全てが愛へと昇華する最終話では濃厚なラブシーンにも挑んだ。『私の解放日誌』でも時折見せた、いたずらっぽく微笑むシーンもある(鼻血を出しながら、ではあるが)。演技を学ぶ前はスポーツ選手を目指していたそうで、アクションもキレキレ。

 この縁が、日本ドラマのリメイク作『最高の離婚~Sweet Love~』でペ・ドゥナとの再共演に繋がる。“黙っていても人を惹きつける”色気を持つ、自由気ままな魔性の男イ・ジャンヒョン役。その一方、同じ坂元裕二脚本ドラマのリメイク作『マザー~無償の愛~』では同居女性の娘を虐待する冷酷な男ソラク役を演じた。この二役だけを見てもその振り幅に舌を巻く。実際、『D.P.』や『恋愛体質~30歳になれば大丈夫』を観た際、この俳優が嫌味なイム・ジソプ大尉や高圧的なCM監督サンスと同一人物とはすぐに思い至らなかった。海外での経験があるためなのか、ソン・ソックにはどこか、ほかの俳優とは違う異質なオーラがある。その抑え方と引き出し方の加減もまた絶妙である。

『恋愛の抜けたロマンス』(c)2021 CJ ENM Co., Ltd., TWELVE JOURNEY ALL RIGHTS RESERVED

 そして7月8日より公開の映画『恋愛の抜けたロマンス』は、日本でのソン・ソック人気をさらに押し上げることになるだろう。演じたのは、ある関係によって傷ついた冴えない雑誌記者のパク・ウリ。編集長から19禁コラムを任され、“デートアプリ”で名前や真の目的を隠して出会ったハム・ジャヨン(チョン・ジョンソ)と“恋愛抜き”の関係に。あるときは居酒屋で酒を飲み交わし、あるときはモーテルの泡風呂で語らううちに、2人の間にロマンスが生まれていく。

 なお、動画配信サービスWATCHAと俳優のイ・ジェフンが企画し、昨年の第26回釜山国際映画祭でも上映されたショートフィルムプロジェクト『UNFRAMED/アンフレームド』の1篇『再放送』では、監督・脚本にも挑戦。ある結婚式に向かうおばと甥の関係を、リアリティを持って描いた。その制作発表で「過去に1回、途中で演出を投げ出したトラウマがあったので、今回だけは絶対に完成させたい気持ちが大きかった」と、まるで“ク氏”を思わせる背景を語り、「楽しかった」「30代のうちにした最もよい選択」と充実の手応えを見せただけに監督業への進出も見据えていそうだ。

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