最終回を迎えた『明日』 小さな幸せの連続が希望となることを教えてくれる韓国ドラマに

『明日』の最終回が描いた“生きる希望”

 あの世の大企業「走馬灯」の引導チーム長・パク・ジュンギル(イ・スヒョク)は、なぜ自殺志願者に対して執拗に嫌悪感を抱き、毎日悪夢にうなされていたのか。危機管理チーム長のク・リョン(キム・ヒソン)とジュンギルが前世で夫婦であったことが明かされた、Netflixで配信中の『明日』が最終回を迎えた。

 最愛のリョンが自ら命を断ち、一人残されてしまったジュンギル。「走馬灯」の会長であり玉皇大帝(キム・ヘスク)と破ることは許されない“死神の誓約”を交わしてまでリョンとの記憶を封印したはずが、その深い傷は魂にまでも刻まれ、悪夢となって今もなお彼を苦しめていたのだった。

 そして、最終話に登場する自殺予定者はアイドルのリュ・チョヒ(キム・シウン)。前世でリョンに仕えていた家族同然の存在コプタンの生まれ変わりだ。物事をはっきりと言う性格の彼女を気に入らない人もいれば、人気絶頂から引きずり落とそうとする者もいる。正義感の強いチュヒの言動は間違っていないが、世間は正しさを求めてはいない。自分たちの思い描いたままの人物でいてほしいのだ。それがリョンの言う「ただの人形でいてほしい」の意味だろう。

 非のない噂を立てられ命を落としたコプタンと同じように、チョヒもまた注目を浴びるためだけに彼女を利用した記事や悪質なコメントなどに苦しめられていた。ここでは人間の本質がいつの時代も変わらない皮肉さや残忍さも描かれる。私たちの生活に毎日大量に流れてくる情報やニュースに多くの人が翻弄されている。夢を追って努力してきたチョヒの人生を悲惨で不幸だと思い込ませているのは真実でないものなのだ。

 車に身を投げ出したチョヒを止められず、ついに感情をコントロールできなくなってしまったリョン。チョヒは一命を取り留めたが、大切な人を二度も助けられなかったリョンの暴走は止まらない。チョヒを追い詰めた者、一人ひとりに苦痛を与えていくが、いくら潰してもキリがないのはリョンが一番よくわかっているはずだ。400年前、噂を広めた者を次々と斬っていくジュンギルに心を痛め、自死する選択をしたのはリョン自身だったのだから。

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