『金田一少年の事件簿』道枝駿佑演じる一が殺人を犯す? 26年ぶりのドラマならではの脚色

『金田一』道枝駿佑が殺人?

  「金田一少年の殺人」といえば、原作屈指の傑作エピソードのひとつ。26年前の堂本剛版第2シリーズで最初にドラマ化された際(以下“初代”)は、登場人物を減らし暗号を変え、畳みかけるように次々と殺人が起きるという極めてタイトで急展開の1話完結エピソードとしてまとめ上げられていたが、今回のドラマ化では2話完結。前編に当たる6月5日放送の『金田一少年の事件簿』(日本テレビ系)第6話を観る限り、“初代”ではあっさり省かれた原作要素を復活させつつ、“初代”のエッセンスも随所に取り入れてきたと見える。

 大物ノンフィクション作家・橘五柳(勝矢)の新作の原稿をめぐる暗号解読ゲームに、助っ人として参加した一(道枝駿佑)と佐木(岩崎大昇)。参加者たちが暗号解読に躍起になっているなか悠々としている一は、ひょんなことから橘の怒りを買ってしまう。橘の書斎に謝罪に向かう一だったが、しばらく経っても戻ってこないことに心配した佐木が後を追うと、そこには橘の死体の横で血のついた凶器を手にした一が。突如容疑者となった一は逃亡を始め、暗号を解読するためにパーティの参加者たちを訪ねていく。しかしその先で、また新たな殺人事件が発生するのである。

 “5代目”のドラマ化が発表された際に、新旧のエピソードを現代視点で再構築すると言われていたが、第1話の「学園七不思議殺人事件」以降は初ドラマ化エピソードが続いていた。それだけに、今回のリメイクは待ちに待ったもの。もっとも、原作と“初代”の際には重要なアイテムとして働いたポケベルがどう見繕っても存在しようがない現代で、“空砲を撃て”をどうするのかと気になって仕方がなかったのだが、それはどうやら次週の後編に持ち越されるようだ。すでに今回、一の台詞の中で「公衆電話を探すのも一苦労」とあり、26年という時間の経過をまざまざと感じさせられたものだ。

 すべての発端となる橘五柳の暗号が「裏川辺奇々なる藻を」と原作に準拠した今回。初代の際には「裏川辺危機の墓」になり、被害者も赤帆(梅垣義明)→物部(加藤貴子)→野中(MIE)と1人減っていたのだが、今回は大村(山西惇)→時任(今井隆文)→桂木(ゆきぽよ)→野中(宮澤エマ)の流れが復活。時任が工事現場の資材の下敷きになる点など原作の要素も復元されることとなった(それだけに、登場人物が全体的に少なく犯人が自ずと絞り込まれてしまう点が気掛かりだが)。その一方で、終盤にトラックの荷台に乗った一が検問で乗り込んだ警官を突き落としてしまうくだりは、電車からトラックに脚色した“初代”を再現。そこから水辺を彷徨い倒れ込むシーンで再び原作に移行するという巧妙な両立を実現するのである。

 もちろん前述したポケベルの不存在に加え、原作と“初代”に登場した明智警視の不在(その代わりのように高橋努演じる高林という刑事が登場するわけか)。最初の橘のパーティにも不参加で、後から一が追われていることを知る美雪(上白石萌歌)など、今回付け加えられた新たなシチュエーションも混ざり合う。前回の第5話「トイレの花子さん殺人事件」のラストなど、一と美雪の恋要素が強調されている今作の流れを踏まえれば、原作にあった美雪の誕生日のくだりは何らかのかたちで入れ込んでもらいたいところだ。

■放送情報
『金田一少年の事件簿』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:道枝駿佑(なにわ男子)、上白石萌歌、沢村一樹、岩崎大昇(美 少年/ジャニーズJr.)ほか
※岩崎大昇の「崎」は「たつさき」が正式表記。
File05ゲスト:渡辺大、戸塚祥太、山西惇、宮澤エマ、今井隆文、勝矢、ゆきぽよ、高橋努、半海一晃
原作:天樹征丸、金成陽三郎
漫画:さとうふみや(講談社)
脚本:川邊優子、大石哲也
監督:木村ひさし、丸谷俊平
主題歌:なにわ男子「The Answer」(ジェイ・ストーム)
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:櫨山裕子、岩崎広樹、秋元孝之、大護彰子
制作協力:オフィスクレッシェンド
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/kindaichi2022/
公式Twitter:@kindaichi_5
公式Instagram:@kindaichi_5

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