『私の解放日誌』が紡ぎ出す、優しい言葉たち 最終話で描き切った自分のために生きること
Netflixで配信の韓国ドラマ『私の解放日誌』。最終話で、田舎のサンポ市から首都・ソウルへと引っ越した3兄妹の生活を垣間見ることができた。
京畿道から毎日ソウルへ1時間半ほどかけて出勤し、休日は実家の畑を手伝う生活を送る3兄妹を中心に、自らどう変化をもたらすか、ヒントが描かれてきた本作。地元の美容室では思う通りに行かず文句を言う姉のギジョン(イエル)。何をするにも父親の許可なしでは動けない、兄チャンヒ(イ・ミンギ)。毎日淡々と無口で生きていながらも、周囲の人間にうんざりしきっている妹のミジョン(キム・ジウォン)。彼らはある夏、自分を動かす大きな存在となる人物にそれぞれ出会い、自らを解放へと導いた。
ミジョンとクから紡ぎ出される、優しい言葉たち
「崇めて」という、あまり日常では出ない言葉から結ばれたミジョンとク、二人の運命。世の中を客観的に見て生きている二人が満たし合う。無口な二人が楽しげに話し始める瞬間はなぜかホッとしたものだった。
一方的にミジョンの元を離れ、ソウルに戻ったクだったが、思い立ちミジョンの実家を訪れたことで、彼女が何をしているのか知ることになる。そしてソウルにて再会、真顔が多かった二人だったのに久しぶりに会うだけで笑顔が溢れていた。
酒を飲むことで自分の脳内にやってくる嫌な人物たちに立ち向かえるのだと言うク。しかし、そんな自分から抜け出そうと、かつてミジョンがクに満たしてほしいと言ったように、アルバイトでいいから話を聞いてほしいとミジョンに頼む。まずは10回、それでも足りなければもう10回。ミジョンはクにとってストーブのように温めてくれる存在なのだ。
そしてまた彼らはお互い崇め、満たし合う関係になった。
毎回、ミジョンの口から出る言葉に、視聴者としても救われてきた。ソウルに来て、転職し、成長した姿でクに言ったこと。それは「1日に5分ときめく時間を作る」ということ。数秒ずつ集めて、1日5分。それを聞いて実践してみるクも実に愛おしく、自分を追い立てている様子が分かる。ミジョンが、クを思う自分を愛らしく思うように、自分を大切に生きていきたいと思わせてくれた。